研究領域 | 超低速ミュオン顕微鏡が拓く物質・生命・素粒子科学のフロンティア |
研究課題/領域番号 |
26108707
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
林崎 規託 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (50334537)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミュオン顕微鏡 / 線形加速器 / 高周波加速空洞 |
研究実績の概要 |
研究代表者は,平成24~25年度の本領域公募研究「超低速ミュオン線形加速器の開発」に取り組み,J-PARC主加速器のための負水素イオン加速用RFQ予備機の転用と,新しく開発したIH-DTLを組み合わせて3.7MeVまで再加速するデザインを得た。しかし,2.2μsという非常に短いミュオン寿命に対して,両加速器をあわせた部分のビーム通過時間は720nsに達し,その大部分がRFQにおいて費やされるが,リソース有効活用を目的としたJ-PARC主加速器用RFQ予備機の転用に起因する不可避的な課題となっていた。 超低速ミュオン顕微鏡において,超低速ミュオンビームは最大30keVのエネルギーと1~2nsの時間幅の初期状態から再加速がおこなわれる。RFQによる加速の特長として,後段の線形加速器が必要とするビーム時間構造にあわせて,直流入射ビームをバンチング(集群化)しながら加速できることがあげられるが,そのためのバンチングセクションを内部に有するので加速効率が低いことから,ある程度の長さが必要とされる。しかしながら,超低速ミュオン顕微鏡のように,あらかじめパルス化されたビームが入射するのであれば,シングルギャップ型の高周波加速器を利用するほうが,加速器を小型化でき,ビーム通過時間も短縮できる。 そこで平成26年度は研究実施計画に基づき,シングルギャップ型高周波加速空洞のビーム軌道解析と高周波設計に取り組み,精密機械加工メーカーと協力して製作をおこなった。運転周波数は200MHz程度を当初予定していたが,入射するミュオンビームのパルス幅を考慮して100MHzに変更された。そして,ネットワークアナライザーにより電気的特性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画に基づき,シングルギャップ型高周波加速空洞のビーム軌道解析と高周波設計に取り組み,その製作を完了できたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に製作したシングルギャップ型高周波加速空洞を,平成27年度にはJ-PARC/MLFミュオン実験施設Uラインに組み込み,100~300keV加速用のエネルギー可変の小型加速器としてミュオンビームの加速実験に挑戦する。また,IH-DTL後の10~30MeVまでの加速器について,ビーム軌道解析と3次元電磁場解析を中心にデザインを進める。
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