公募研究
本研究では、「超低速ミュオン顕微鏡」を用いて、(1)らせん磁気構造のヘリシティの検出及び、(2)ラセミ双晶におけるらせん磁気構造カイラリティの実空間3次元イメージングを行い、結晶構造と磁性のカイラリティ結合の検証を行うことを目的としている。最終年度である今年度は、「超低速ミュオン顕微鏡」を用いて、上記の実験を実施する予定であったが、J-PARC物質・生命科学実験施設に建設中の超低速ミュオンビームラインが実験を実施できる状況に至らなかった。そこで、昨年度バルクミュオンスピン回転測定を実施したカイラル磁性体CsCuCl3について、結晶構造と磁気構造のカイラリティ結合を明らかにするため、バルクミュオンスピン回転測定による追実験を行った。昨年度の実験では、結晶構造のカイラリティが単一ドメインであるCsCuCl3の右手系単結晶(空間群: P6122)及び左手系単結晶(P6522)で観測されたミュオンスピン回転シグナルで、周波数の温度依存性が各々の試料で一致することから、カイラルらせん磁気構造のヘリシティは各々の結晶で異なる(鏡像関係にある)ことを示唆した。今年度は、らせん磁性のヘリシティ及び磁気構造に関するより詳細な情報を得るため、新たに育成した大型単結晶(長さ1cm程度)を用いてミュオンスピン回転測定を行った。その結果、ミュオンスピン回転周波数の位相は左右の結晶で優位な差はなく、磁気構造のヘリシティをバルクミュオンスピン回転から決定するには至らなかった。一方、中性子散乱実験により決定された磁気構造との比較から、磁気モーメントはCuサイトに加え、Clサイトにも存在する可能性を示唆した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
JPS Conference Proceedings
巻: 8 ページ: 036006/1-6
http://dx.doi.org/10.7566/JPSCP.8.034006
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 84 ページ: 044710/1-7
http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.84.044710