公募研究
本研究では、大きな立体角で半導体検出器を超えるエネルギー分解能でX線を測定する検出器の開発を目指す。そのために、超伝導検出器とSOIピクセル検出器を融合した新規な検出器を提案し、開発を開始した。本研究においては二つのキーとなる開発技術がある。一つ目は、X線の基板吸収によって生じたフォノンを検出する超伝導検出器の開発である。超伝導検出器は、フォノンによってクーパー対が破壊されることにより変かする力学的インダクタンスを検出する検出器(KID)を用いる。KIDの超伝導物質として、Alを利用し、動作温度は0.3Kである。二つ目は、極低温で超低消費電力で作動するSOIピクセル検出器の開発である。前年度は、AlのKIDの作製を試みたが、歩留りが60%以下と性能が出なかった。また、SOI検出器の設計を行った。今年度は、KIDの作製・測定技術の開発を行った。歩留りが悪い理由は、リソグラフィー技術で作製した薄膜のパターニングのエッジにバリが残っていたことによるものと、電子顕微鏡と測定結果との対応を行うことにより、判断し、バリをとる方法を考案した。また、測定においても、冷凍機に素子を設置する方法を工夫し、迷光がはいらず、かつ熱伝導がよくなるように素子を配置した。その結果、90%以上の歩留りを達成することができた。FPGAを用いた周波数領域多重同時読み出しシステムの開発を行い、アメリシウム241からのα線によるフォノン信号の、多重同時読み出しに成功した。SOIピクセル検出器の設計を回路シミュレーションを行い、設計し、実機の作製を行った。納品が12月中旬だったこともあり、性能評価にかける時間が限られたが、基本的なトランジスターの性能を確認した。低温でSOIピクセル検出器を評価するシステムの構築も行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings for Instrumentation and Measurement Technology Conference, 2015, IEEE International
巻: 1 ページ: 1042-1045
10.1109/I2MTC.2015.7151414
Proceedings for SOIPIX2015
巻: arXiv:1507.01326 ページ: 1-8