研究領域 | シンクロ型LPSO構造の材料科学 ―次世代軽量構造材料への革新的展開― |
研究課題/領域番号 |
26109701
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 耕治 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50344718)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アトムプローブ / 拡散 |
研究実績の概要 |
本研究では、シンクロ型LPSO構造を持つMg合金の代表例としてMg-Zn-Yの合金を念頭におき、Mg中のZn、Yの拡散係数を最新のレーザーパルス局所電極型アトムプローブを用いて求める。具体的な研究の流れは以下の通りである。1、拡散対試料の作製:十分な焼鈍を行った純Mg試料にZnやYを電子ビーム溶解を用いた蒸着装置で蒸着する。その後、焼鈍を行いMg中にZnやYを拡散させる。2、アトムプローブ用試料作製:アトムプローブ測定試料形状は先端が数十nmの細い針状である。蒸着したZnやYとMgの界面部分を針の先端領域にもってくる必要がある。この作業は集束イオンビーム加工装置(FIB)に具備されている走査型電子顕微鏡(SEM)観察しながら針加工を実施する。針状試料の加工は、アトムプローブ評価の成否を決める最も重要な技術の一つである。SEMで確認しながら、界面が針状試料の先端から50~100 nm程度内に含まれるように試料を作製する。3、アトムプローブ測定条件の最適化:測定データのS/N比はアトムプローブの測定条件(測定温度、レーザーパワー)によって大きく左右されるため、測定条件の検討を繰り返し行い、S/N比を向上させる。4、Mg中のZn、Yの粒内拡散係数の決定:アトムプローブ測定によってアトムマップ取得し、アトムマップから求めた濃度分布から、粒内の拡散係数を求める。 上記1、2、3、4、までの一通りの実験作業行い、拡散対試料作製部分以外はうまくいくことが確認できた。拡散対試料作製に関しては、電解研磨でMg表面処理を行っても、すぐに表面が酸化してしまい、アトムプローブ測定で、薄い表面酸化膜層が検出された。また劈開することで酸化膜のない表面を得ようと試みたが、液体窒素温度ではMgは脆性破壊しないことがわかった。今後の対策も見え、来年度それを実行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
様々試した結果から、拡散対試料作製が簡単ではないことがわかった。Mg表面の酸化膜はMg中へ拡散する時の障壁となるため、取り除く必要がある。しかしMg表面が酸化しやすく取り除くことが困難であり、蒸着チェンバー内において低温でMg試料にハンマーで衝撃を与え、劈開面を作製することで解決しようとしたが、延性破壊を起こすためそれも困難であることもわかった。この問題の解決方法については、見当がついており、この試料作製問題さえ解決できれば他はうまくいくことは確認してある。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の結果から、拡散対試料作製にとって重要な清浄Mg表面を得ることが難しいことがわかった。そこで今年度、蒸着チェンバー内でArスパッタ装置を導入することで、表面酸化膜を除去し、その場で蒸着することで、理想的な拡散対試料を作製しようとする。その後のアトムプローブ用試料作製、アトムプローブ測定条件の最適化、アトムプローブデータからの拡散係数導出過程については、検討を終えており、試料作製問題さえ解決できれば他はうまくいくことは確認してある。
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