研究領域 | シンクロ型LPSO構造の材料科学 ―次世代軽量構造材料への革新的展開― |
研究課題/領域番号 |
26109702
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 和久 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (70314424)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | LPSO / マルチスケール / 3次元組織解析 / 電子線トモグラフィー / 形成メカニズム / 面内形状 / マグネシウム合金 / 3次元再構成 |
研究実績の概要 |
本年度は、主としてHAADF-STEMによる一軸傾斜電子線トモグラフィー法を用いて、Mg97Zn1Gd2合金中に形成される14H型LPSOの3次元組織観察を行い、以下の知見を得た。 1. 本手法により、LPSOの空間分布を可視化することが可能であり、これまで情報の乏しかった面内方向での形状について知見を得ることができた。 2. 成長途上のLPSO面内に凹凸部が観察された。LPSO内でのコントラスト差の起源を考察する際に、溶質濃度のみでなく面内方向の形状をも考慮に入れる必要があることを示している。 3. LPSO先端部に特徴的な形状が見られ、特に60°付近の角度を有するLPSOが多く観察された。この角度は{11-20}面に相当し、LPSOの面内成長メカニズムに関係していると考えられる。 4. 電子線トモグラフィーでは、ミクロンからナノメートルまでマルチスケールな3次元組織解析が可能であり、電子回折による結晶方位に関する知見を加えることで、本手法はLPSO形成・成長過程を解明する上で有効な手段となりうる。 5. STEM-ADFモードによる加熱その場観察の結果、583 KでのGPゾーン生成・成長の様子をリアルタイムで観察することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度は、HAADF-STEMによる一軸傾斜電子線トモグラフィー法を用いて、Mg97Zn1Gd2合金中に形成される14H型LPSOの3次元組織観察を行った。その結果、LPSOの空間分布と面内形状を明瞭に再構成することができ、LPSO組織解析における本手法の妥当性を示すことができた。また、電顕内加熱その場観察によりGPゾーン生成・成長の様子をリアルタイムで観察することに成功した。このように、H26年度当初計画を概ね達成し、得られた成果をまとめた投稿論文が現在掲載可となっている(Materials Transaction7月号掲載予定)ことから、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により、LPSOは形成初期段階から面内方向に著しく成長すること、超高圧電顕を利用して厚い領域を観察することによりLPSO面内形状をより正確に捉えることが可能であること、などが判明している。そこで300kVクラスの汎用電顕による3次元組織解析を念頭に、次年度は時効温度を下げて(723-753 K)かつ短時間の時効(60-300 s)を行うことにより、LPSO形成初期段階の観察を試みる。
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