研究領域 | シンクロ型LPSO構造の材料科学 ―次世代軽量構造材料への革新的展開― |
研究課題/領域番号 |
26109707
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榎 学 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70201960)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | LPSO構造 / アコースティック・エミッション / キンク変形 |
研究実績の概要 |
シンクロ型LPSO構造においては、その特異な変形機構が優れたマクロ力学特性の発現に寄与している。更なる高強度化のために材料開発を進める上では、ナノレベルでの詳細な変形機構の解明が必要である。電子顕微鏡をはじめとする計測・分析装置を用いた詳細な観察が非常に有効である。ただし、これらの手法には主に表面近傍の観察に限られることや、基本的には静的なイメージの観察となるという限界を有しているので、他の手法と組み合わせて用いることが有効であろう。一方、変形機構の情報を動的に計測できる手法として、アコースティック・エミッション(AE)法が用いられている。この手法は、他の手法では困難なリアルタイムの動的な挙動の情報を得ることができるという特徴を有している。本年度の研究としては組織の異なる鋳造材LPSO-Mg合金に対して引張・圧縮・破壊靭性試験を行った。それらの試験中に計測されたAE信号を解析することによって、異なる組織を有する試験片に対して試験中に生じた変形・破壊機構の評価を行った。組織の異なる2種類のLPSO-Mg合金に対して力学的試験を行い、試験中に発生したAE信号を計測・解析した。その結果、α-Mg相内における変形は高周波のAE信号を生じ、それと比較してLPSO-Mg相内における変形は低周波のAE信号を生じるということが示唆された。今後、より詳細に変形機構とAE信号の関係性を評価するために、一方向凝固材などの組織配向を有する試料に対して実験を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新たなAE計測および解析システムを開発することにより、LPSO-Mg合金の圧縮試験におけるAE信号の解析が可能となった。従来の試験終了後の観察からだけでは得られない動的な変形機構の解析が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
AEの周波数情報を利用して、AE源のクラスタリングをする手法を改良することより、LPSO-Mg合金の変形機構の解明を進める。一方向凝固材などの組織配向を有する試料に対して実験を進めていく予定である。
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