研究領域 | 分子アーキテクトニクス:単一分子の組織化と新機能創成 |
研究課題/領域番号 |
26110510
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
近藤 敏啓 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (70240629)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自己組織化 / 金属ポルフィリン / 表面・界面物性 / 構造・機能材料 / 光物性 |
研究実績の概要 |
平面型の金属ポルフィリン分子は、光感応性、電気化学活性、触媒活性など、多くの機能を有する機能性分子であるが、その機能はポルフィリン環の面内で起こる。そのため、金属ポルフィリンを利用し、多機能・高効率な分子素子を実現するためには、金属ポルフィリン環を固体基板表面に平行に配列させた分子組織体構造を構築する必要がある。我々は、ポルフィリン環に基板との結合性官能基を導入した新規分子の平面配列吸着を達成しているが[1]、この方法では分子合成に多大な時間を要することから、本研究は2段階の積層で金属ポルフィリン環を平面吸着させる新たな手法により、種々の機能を有する平面吸着型金属ポルフィリン分子層を構築することを目的としている。当該年度は平面吸着型の鉄およびコバルトポルフィリン(FeTPP、CoTPP)分子層の構築条件を確立し、またその酸素還元触媒能を評価した。 金属ポルフィリンとの結合性官能基としてのチオール基を末端に有する、1-4-Benzene-dithiol(1,4-BDT)の自己組織化単分子層(Self-Assembled Monolayer; SAM)をAuディスク基板上に構築し、そのSAM修飾基板をFeTPP、CoTPP溶液に浸漬して、FeTPP、CoTPP分子層修飾金基板を作製した。両分子層修飾基板のX線光電子スペクトルより、金属ポルフィリンが平面吸着していること、および飽和吸着していることを確認した。両修飾電極の、酸素飽和0.05 M H2SO4溶液中で測定したリニアスイープボルタモグラム(LSV)を図1に示す。1,4-BDT SAMのみではほとんど観測されなかった酸素還元電流が、両修飾電極では大きく観測された。また、バルクと同様、CoTPPの方がFeTPPよりも酸素還元触媒能が大きいことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平面吸着型金属ポルフィリン単分子層の構築に成功し、その構築法をほぼ確立した。その金属ポルフィリン分子層の触媒活性評価により、触媒効率の高さを立証した。また、領域内の共同研究により、単分子層における電気電導度計測も開始した。
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今後の研究の推進方策 |
有機金属錯体を利用して、構造・配向を制御した金属ポルフィリン多分子層を構築し、より高機能な分子デバイスを構築していく。また、領域内の共同研究の実施によって、金属ポルフィリンの配向と電気伝導性との関係を評価する。
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