研究領域 | 分子アーキテクトニクス:単一分子の組織化と新機能創成 |
研究課題/領域番号 |
26110513
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂口 浩司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (30211931)
|
研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2016-03-31
|
キーワード | ナノ材料 / 分子細線 |
研究実績の概要 |
グラフェンナノリボンは、“有限幅を持つグラフェン”すなわち一次元量子構造であり、分子幅やエッジ構造に依存した優れた半導体的性質を持つことが理論的に予測され、デバイス応用が期待される新物質である。しかし分子幅や化学構造を規定し、且つデバイス化につながる大量合成法が未開拓であり、その確立が世界的に望まれている。そこで本提案では、分子設計した原料分子を、高い反応性を持つ気固界面(原料分子ー金属表面)で重合・脱水素縮環することにより、従来困難であった分子幅とエッジ構造を制御したグラフェンナノリボンの大量合成法(ラジカル重合型化学気相成長法)を世界に先駆けて開発し、単一分子素子やその組織化構造を創成し、電場・磁場スイッチング素子や確率共鳴素子等の新デバイス応用を目指す。 今年度は、分子幅の異なるアームチェアエッジ型グラフェンナノリボンを系統的に合成するため、原料分子として両末端にハロゲン原子を結合させたターフェニル誘導体を有機合成した。また、原料分子を低真空中で気化させ、高温に加熱した清浄化石英表面に接触させて原料分子のラジカルを発生させ、温度制御した単結晶金属基板上でのラジカル重合反応及び脱水素縮環反応によるグラフェンナノリボンの合成を試みた結果、湾型グラフェンナノリボンを合成できることを見出した。温度やキャリアガス流量を最適化した結果、非常に効率良くグラフェンナノリボンを表面合成できることが分かった。更に走査トンネル分光によるバンドギャップ測定や顕微ラマン分光による化学構造の同定を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、分子設計した原料分子を、高い反応性を持つ気固界面(原料分子ー金属表面)で重合・脱水素縮環することにより、従来困難であった分子幅とエッジ構造を制御したグラフェンナノリボンの大量合成法(ラジカル重合型化学気相成長法)を世界に先駆けて開発し、単一分子素子やその組織化構造を創成し、電場・磁場スイッチング素子や確率共鳴素子等の新デバイス応用を達成することである。今年度は、分子設計した両末端にハロゲン原子を結合させた原料分子を有機合成し、化学気相成長法により新種の湾型グラフェンナノリボンが金単結晶上に合成できることを明らかにした。以上から、順調に研究が達成できているものと判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度表面合成したグラフェンナノリボンの詳細な物性評価を行う。電界効果トランジスタの試作を行い、キャリア移動度を明らかにする。
|