公募研究
鋭い探針を試料表面に近づけ、探針にかかる微弱な相互作用力を測定する原子間力顕微鏡(AFM)の発展が著しい。近年、AFMの探針先端の原子を表面に吸着した有機分子に接触させることによって、有機分子内の骨格(原子間の結合手)を可視化することができるようになった。従来、このような超高解像イメージングは、一酸化炭素分子を探針先端に付着させることができる極低温AFMによって行われてきた。そして、未知の有機分子の構造決定、単一分子内の電荷の分布の可視化、分子内の結合次数の識別、化学反応前後の分子構造の同定などが報告されている。このような極低温AFMは、水晶振動子を用いる手法が主流である。そこで、本研究ではより高い力分解能が期待できるレーザー干渉計に基づいたAFMを用いて、室温における有機分子の超高解像イメージングを行った。その結果、過去の極低温の研究と同様に分子の骨格像を室温でも得ることができた。これにより、室温環境下においても、超高解像イメージングが可能であることが初めて示された。室温においては探針先端の状態が不明であるので、どのような探針で分子の骨格を得ることができるのか確かめる必要がある。そこで、探針を有機分子と基板のシリコン原子に近づけて、それぞれの上で相互作用力測定を行った。その結果、活性な探針と不活性な探針があることがわかり、相互作用力のカーブを説明する探針モデルが構築できた。重要なことに、どちらの探針においても分子上では似通った相互作用力が得られ、両者とも有機分子の骨格像が得られることが判明した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 14件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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