ナノギャップ電極の作製はこれまで、光露光や電子ビーム露光など非常に高額なパターンニングプロセスを必要としていた。これは、一回の測定ごとに使い捨てにするナノギャップ電極の高コスト化の原因のひとつであった。そこで、コストの低いメタルマスクによるパターンニングでナノギャップ電極が作製可能か探求した。しかし、メタルマスクはパターニング精度が低く、数10μm 台の大きなパターンでも作製できなければならない。そこで内藤らが独自に見出した蒸着時エレクトロマイグレーション法を取り入れて、ナノギャップの作製を試みた。結果、パターンが大きくなった影響で、一部ナノギャップができにくい条件も存在したが、光露光や電子ビーム露光などと同様にsub1nm 幅のナノギャップ電極が作製可能であることが分った。また、メタルマスク利用によりウエットプロセスフリーが可能となったため、蒸着金属の選択肢の拡張や接着層なしで金のナノギャップ電極作製など、より電極作製の自由度が向上できることが分った。
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