研究実績の概要 |
本年度は、光応答性ガングリオシドプローブの合成として、糖鎖修飾型プローブ(GD3,GD1b, GT1b)脂質修飾型プローブ(GM3,GM1)を標的化合物として合成研究を進めた。シアル酸二量体を含むガングリオシドであるGD3,GD1b,GT1bのうち、分岐構造を有するGD1b、GT1bの合成については、GM2,GM1蛍光プローブの合成法に準拠し、当研究室で確立したGD3コアユニットを共通ユニットとして合成を進め、糖鎖末端にアミノ基を有するアミノGD1b、GT1bの合成に成功した。今後は、合成の最終段階である光応答性官能基を有するユニットの導入を経て、標的構造を得る予定である。一方、脂質修飾型プローブの合成では、脂質部分であるセラミドを構成する脂肪酸の末端に光応答性官能基を結合させたユニットの合成を検討し、目的の修飾脂肪酸を得ることが出来た。GM3プローブの合成では、すでに確立したGM3プローブの合成法を基に脂質部分にアミノ基をもつGM3へと導き、修飾脂肪酸を導入することで目的の脂質修飾型光応答性GM3プローブの合成を達成した。現在は、GM1の合成も進めており、間もなく完了の予定である。合成したGM3プローブの生物物理的評価において、天然ガグリオシドと同様のラフト親和性を有することが示された。
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