公募研究
本研究は脳におけるポリシアル酸量が精神疾患で変動しているという報告と、我々が提唱しているポリシアル酸構造の不全が疾患のリスクを高めるという仮説の元立案されたものであり、精神疾患の患者で報告されたポリシアル酸転移酵素ST8SIA2のゲノムにおけるSNPに着目し、そのSNP変異を持つST8SIA2遺伝子が、産物であるポリシアル酸構造にいかに関わるかを明らかにすることが目的である。本年度はこれまで報告のあるST8SIA2のエキソン4と5の間のイントロンのSNP, rs2168351(双極性障害患者)、rs37984730(自閉症患者)、およびST8SIA2の翻訳領域に存在するSNP-7(統合失調症患者)およびSNP-9(統合失調症患者)に着目している。ヒト神経芽細胞腫からクローニングしたイントロンをもとに、ポイントミューテーション法とin-fusion法を用いて、各種SNP入りのST8SIA2の発現プラスミドを作製した。この発現プラスミドを用いて、ポリシアル酸は発現していないがNCAMを発現するマウス神経芽細胞腫を用いて、ポリシアル酸の発現解析を、構造特異的な抗体を各種用いて行った。その結果、イントロンを含むと発現量自体はORFのみのもに比較すると減少するが、ポリシアル酸の発現は明確に確認されたため、この系で評価できることが明らかになった。また、タンパク質としての酵素の発現、遺伝子としてのmRNAおよびpre-mRNAの発現、遺伝子導入量の評価法を確立した。
2: おおむね順調に進展している
申請時に計画していた内容をおおむね実行できたため。
確立した評価法を元に、精神疾患型のSNPが遺伝子~産物のどの段階で関与することで、最終段階の細胞表面糖鎖に影響を与えるのかを明らかにする。その後、必要な変異体での解析をすすめる。その際、神経作用因子との相互作用解析に関しては、negative controlをいくつか検討することで、PSA鎖の寄与を詳細に明らかにする。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (28件) (うち招待講演 3件)
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