研究領域 | 統合的神経機能の制御を標的とした糖鎖の作動原理解明 |
研究課題/領域番号 |
26110719
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
山田 修平 名城大学, 薬学部, 教授 (70240017)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖鎖 / コンドロイチン硫酸 / ヒアルロン酸 / ヒアルロニダーゼ / 脳 / 神経 |
研究実績の概要 |
本研究では、未だ解明されていない脳・神経系におけるコンドロイチン硫酸(CS)およびヒアルロン酸(HA)の代謝分解機構の解明を目的としている。平成26年度は、(1) 脳内におけるCSおよびHA分解酵素活性の検出、およびその酵素活性を担うタンパク質の同定、(2) CSおよびHA分解酵素の候補遺伝子の脳内における発現量の詳細な解析、(3) 脳・神経に由来する培養細胞を用いた、CSおよびHA分解機構の解明を目標としていた。(1)のテーマに関して、様々な界面活性剤を用いて抽出条件を検討したり、様々な緩衝液を用いて幅広いpHで活性測定を行い、インキュベーション条件を検討してきたが、これまでに明確な分解活性は見られていない。(2)に関しては、異なる発生段階および異なる部位の脳から得られたRNAを用いて、様々なヒアルロニダーゼ(HYAL)遺伝子の発現解析を定量的に行った。その結果、周産期におけるHYAL2およびHYAL3の一過性の発現上昇が、再現良く検出され、これらの酵素がこの時期に特異的な働きをしていることが示唆された。この成果については、国内および国際学会において発表した。(3)に関して、培養神経細胞のホモジェネート中にHA分解活性の検出に成功しており、引き続きHA分解酵素の同定とCS分解活性の検出を試みている。これら上記の各研究成果の一部は、国際学術雑誌Cellular and Molecular Biology Lettersに総説として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、(1) 脳内におけるCSおよびHA分解酵素活性の検出、およびその酵素活性を担うタンパク質の同定、(2) CSおよびHA分解酵素の候補遺伝子の脳内における発現量の詳細な解析、(3) 脳・神経に由来する培養細胞を用いた、CSおよびHA分解機構の解明の3項目を実施することを目標としていた。(1)のテーマにおいては、マウス脳のホモジェネートを用い、CSおよびHA分解活性を検出することを目的としていた。これまでに、様々な界面活性剤を用いて抽出条件を変えたり、緩衝液の組成、pHを変化させて活性測定を行ってきたが、顕著な分解活性は検出されていない。予想以上に活性を検出することが困難であった。しかし、(2)と(3)に関しては順調に進んでおり、特に(3)では(1)の代わりに結果が得られており、全体的には順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
脳ホモジェネートでは活性の検出が困難であり、これ以上条件を変化させても時間と労力ばかりが消費されるので、脳ホモジェネートを用いる実験は中断することを考えている。幸い幾つかの培養神経細胞株を用いた実験結果において、HA、CS分解活性が検出できているので、脳ホモジェネートの代わりにそれらの細胞を用いて分解酵素タンパク質の精製や同定を試みる。また、ヒアルロニダーゼなど、その分解活性を発揮している可能性のある成分に対するshRNAを培養細胞に導入し、その結果酵素活性が実際に低下するかどうかを検討する。また、各候補遺伝子の発現部位の詳細な解析等も行い、多方面からの研究に力を注ぎ、当初の目的の達成に近づきたいと考えている。
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