研究領域 | 統合的神経機能の制御を標的とした糖鎖の作動原理解明 |
研究課題/領域番号 |
26110720
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
坂場 武史 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (80609511)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経科学 |
研究実績の概要 |
P8-11のラット急性スライス標本のカリックス型シナプス前終末に対して、直接パッチクランプ法を行い、シナプス前終末の機能を測定するとともに、糖鎖修飾を薬理学的に操作してその機能への影響を解析した。具体的には、細胞外にツニカマイシンなどの薬物を投与し、N-グリコシル化、O-グリコシル化、O-アセチルグルコサミン化などを操作した。この条件で、シナプス前部でのCa電流の計測と、それによって惹起されたシナプス小胞の形質膜融合を細胞膜容量測定法で検出し、シナプス小胞の開口放出、エンドサイトーシスがどのように変化するかを検討すると、刺激によっておこる膜容量の上昇量は変化しなかったが、刺激後の膜容量の下降は顕著に遅くなった。これによって、シナプス小胞の開口放出には影響がなかったが、シナプス小胞のエンドサイトーシスによる取り込みが抑制されたと結論できた。次に、小胞膜ではなく、小胞タンパク質であるシナプトタグミンの取り込みをsynaptotagmin-cypHerを用いて蛍光観察すると、エンドサイトーシスに伴うシナプトタグミンの取り込みが抑制された。以上の結果から、糖鎖修飾がシナプス小胞エンドサイトーシスに関係することが明らかとなった。今後、糖鎖修飾がどの機能タンパク質に作用するか、検討したいと考えている。 新学術領域内での共同研究によって、電気生理学的な解析で何か貢献できないかと考え、領域内研究者から糖鎖関係の遺伝子改変マウスを入手した。スライス標本を用いて、小脳シナプスの伝達強度に変化があるかどうかの測定を始め、現在その解析を急いでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に書いている通りの実験計画をおこない、カリックス型シナプス前終末における糖鎖修飾の影響について、それを肯定する実験結果が得られた。一方、領域内の共同研究によって、計画調書で想定していなかった研究の方向が見出せたことはプラスであったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に書いている通りであるが、カリックス型シナプス前終末で糖鎖修飾の影響について、より詳細な解析をすること、また、当初の計画にはなかったが、領域内の共同研究による遺伝子改変マウスの解析をおこなうことの2点が課題である。
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