公募研究
O-マンノース(Man)型糖鎖の異常は中枢神経障害を伴う先天性筋ジストロフィー症(α-ジストログリカノパチー)の原因となる。しかし、疾患の原因となるO-Man型糖鎖の構造は部分的にしか解明されておらず、この構造の問題は病態を理解する上で重要な課題であった。また、これまでに18個の原因遺伝子が同定され、その多くがO-Man型糖鎖の合成に係る糖転移酵素であるが、fukutin(福山型先天性筋ジストロフィー)、FKRP(肢帯型先天性筋ジストロフィー)、ISPD(ワーカーワーブルグ症候群)の機能はこれまで不明だった。今年度、これまで未解明だったO-Man型糖鎖構造の解析に成功し、その構造の合成にfukutin、FKRP、ISPDが関わることを明らかにした。これまで不明だった構造には、2つのリビトールリン酸が直列に結合した構造が含まれていた。fukutinとFKRPはその合成を担うリビトールリン酸転移酵素であることが分かった。Fukutinが最初のリビトールリン酸、FKRPが2個目のリビトールリン酸を転移させることで、リビトールリン酸の直列構造は完成する。さらに、fukutinとFKRPのリビトールリン酸転移反応にはCDP-リビトールが利用され、ISPDがCDP-リビトール合成酵素であることが分かった。さらに、ISPD欠損細胞におけるO-Man型糖鎖不全は細胞培地にCDP-リビトールを添加することで回復できることを示した。また、α-ジストログリカノパチー原因遺伝子の一つであるPOMGNT1が網膜色素変性症の発症にも関与るすことを明らかにした。網膜色素変性症は夜盲、視野狭窄、視力低下を特徴とする難病である。この結果は、α-ジストログリカノパチーと網膜色素変性症にO-Man型糖鎖を介した共通のメカニズムがあることを示している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
Hum. Mol. Genet.
巻: 25 ページ: 1479-1488
10.1093/hmg/ddw022
Cell Rep.
巻: 14 ページ: 2209-2223
http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2016.02.017
J. Hum. Genet
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1038/jhg.2016.42
Chem. Biol.
巻: 22 ページ: 1643-1652
10.1016/j.chembiol.2015.10.014.
Biol. Pharm. Bull.
巻: 38 ページ: 1389-1394
10.1248/bpb.b15-00415
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/images/press/pdf/press20160229.pdf
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/images/press/pdf/press20160222.pdf