研究領域 | オートファジーの集学的研究:分子基盤から疾患まで |
研究課題/領域番号 |
26111504
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
村松 一洋 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70510907)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オートファジー / WDR45異常 / 鉄代謝 / 神経変性疾患 / 多能性幹細胞 |
研究実績の概要 |
当該研究課題における目的はSENDA患者(WDR45異常症)検体からの多能性幹細胞の樹立および、オートファジー機能不全が鉄代謝を介した神経細胞傷害をもたらす機構を解明して、実際の医療へ応用することである. まず、SENDA患者の皮膚繊維芽細胞から疾患iPS細胞を樹立を試みた.異なる遺伝子変異を有する2名の患者からの皮膚組織を採取し、これを利用して多能性幹細胞(疾患iPS細胞)樹立することが完了した. 多能性幹細胞樹立には時間を要するため、その間に神経細胞のモデルとしてヒト胎児由来のドパミン細胞(LUHMES細胞)株を使用した解析を実施した.市販のsiRNAを用いた機能抑制法にてWDR45の発現が抑制されたLUHMES細胞株を作製し、オートファジー関連分子および鉄動態関連分子の変動をqRT-PCRで評価した.WDR45の発現は良好に抑制されたことを確認(野生型の20%未満まで低下)した後に各分子を測定した.野生型に比して明らかに低下したものはhepcidine、DMT1、ferroportin、transferrin receptor、transferrin receptor2、LC3A、ATG9A、DRD2、変動がないものはLC3B、ATG2A、ATG2B、iron regulatory protein2、上昇したものはferritinであった.これらの変動からはferritin自体が増加しており、唯一の細胞外鉄排出作用を有するferroportinの低下とferroportinを負に制御するhepcidineの増加からは鉄の動態に関しては細胞内に鉄が増加することが推測された.オートファジーの過程においては追加の検討が必要であると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の主たる目的であったWDR45異常症患者からの疾患iPS細胞の樹立は完了したものの予定よりも時間を要した.その影響もあり、オートファジー機構に及ぼす影響の検討はまだ十分ではなく、可及的速やかな進展が望まれる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き疾患iPS細胞あるいはWDR45機能抑制株において、オートファゴソーム形成、細胞の傷害性、細胞死の状況と鉄の動態を検証する.具体的には下記のとおりである. 1.定常状態でのオートファジー機能とオートファジー誘導剤添加による影響 2.鉄代謝すなわち鉄の細胞内外への輸送動態 3.鉄過剰による細胞傷害とオートファジー誘導剤添加による回復
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