本研究はオートファジー活性の調節をする分子機構の理解を目指すものである。オートファジーの活性は、栄養が豊富な環境下では低レベルに抑制され、栄養源が枯渇したときに誘導されるが、最終的に細胞全体が分解される以前の段階で停止する。それらにさらに多様な生理反応、代謝経路の反応、信号伝達経路の反応からのフィードバックが多重に関わり精緻な制御(ファインチューニング)されている可能性があるがその詳細は曖昧である。なかでもオートファジーの停止に関わる分子機構はほとんど未知であり、オートファジーが関与する各種疾病対策の重要標的候補となりうる。
大規模ALP法を縦横に駆使し大量のデータを集め解析することにより、新たなオートファジー制御機構の探求を行う。この目的で遺伝的に改変した酵母ゲノムワイド変異株コレクションの約5400種を各種栄養の飢餓培地やオートファジー制御の中心分子複合体であるTORC1の阻害剤ラパマイシン添加など様々な条件で培養する。培養時間を0、3、6、24時間の4点おいて約5400種の変異株それぞれのオートファジーの活性を測定する。それぞれオートファジー制御に関し、抑制する機構(0時間)が、速度を規定する機構(3時間と6時間)、最終的にオートファジーを停止にさせる機構(24時間)に関する遺伝子を同定した。現在それらの機能解析を行っており、それがどのようにオートファジー調節に関わるのか解明を行いたい。
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