公募研究
ミトコンドリアを特異的に丸ごと分別・除去する機構「マイトファジー」の関連因子の中には、タンパク質の生合成に関与する新生ポリペプチド結合複合体NACの構成因子Egd1が含まれている。酵母において、NACは2つのサブユニットαとβから成るヘテロダイマーを形成する。α-NACにはユビキチン結合に関与するUBAドメインを持つEgd2、β-NACにはリボソーム結合に関与するRRKxxKKモチーフを持つEgd1とBtt1が存在している。Egd2とBtt1はマイトファジーに重要でないこと、栄養飢餓誘導型のオートファジーやタンパク質を積み荷とした選択的オートファジーは、Egd1欠損細胞でも正常であった。次に、Egd1のリボソーム結合の意義を検討した。Egd1のRRKxxKKモチーフにアラニン置換を導入すると(RRK/AAA変異体)、マイトファジーが障害された。加えて、Egd1と相互作用することが示唆されているリボソーム・サブユニットRpl31の欠損細胞においても、Egd1の発現には影響が見られないにも関わらず、同様の障害が見られた。一方、野生型のEgd1やRRK/AAA変異体をリボソームへ強制的にアンカーさせると、マイトファジーはほぼ正常に起こることから、遊離型のEgd1はマイトファジーに重要でないことが示唆された。そこで、Egd1と相互作用する新生ポリペプチド鎖を同定するため、マイトファジー誘導条件下の細胞からEgd1をアフィニティー精製し、得られたmRNAについてマイクロアレイ解析を行った。その結果、比較対照の全RNAに対して5倍以上濃縮されている因子を90以上同定した。その中の新規因子の欠損株を調べたところ、マイトファジーの部分的抑制を見出した。以上の知見により、マイトファジーに働く因子がEgd1依存的に生合成され、機能発現していることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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