公募研究
細胞内分解機構オートファジーは、飢餓の際には細胞内成分の再利用を促進し、またオルガネラが損傷した際にはその排除を行うなど、ストレス環境下において細胞恒常性を維持する役割を果たす。自然免疫は細菌やウイルスなどの病原体に対する感染防御機構であるが、一方で自然免疫は炎症性因子の産生を誤って誘導することにより組織損傷を引き起こして疾患発症要因となる負の側面も有している。本研究では、オートファジーによる自然免疫制御の分子機序の解明に取り組んだ。解析の結果、以下が明らかになった。ATG16L1は、基底状態や栄養飢餓状態において誘導されるオートファジーに必須の因子である。しかしながら、リステリアの感染や尿酸塩結晶・シリカ粒子の刺激などによりファゴソームが損傷した際には、オートファゴソームのマーカーであるLC3がATG16L1欠損細胞において菌の周囲にリクルートされる。この反応は、マウス線維芽細胞とマクロファージで確認される。また、マクロファージにおいては、オートファジーの基質であるp62のリソソームに依存した分解もATG16L1の存在に関わらず誘導される。ATG16L1とよく似た構造を有するATG16L2と呼ばれる分子が存在するが、ファゴソーム損傷によるオートファジーの誘導には関与していない。よって、ファゴソームが損傷した際には、ATG16L1およびATG16L2を必要としない特殊なオートファジーが誘導されることが示された。また、ATG16L1を欠損したマクロファージにおいても、ATG7を欠損したマクロファージと同様に、過剰なインフラマソームの活性化が認められることから、これらのマクロファージの示す表現型が刺激誘導性のオートファジーの誘導不全ではなく、基底状態で恒常的に誘導されているオートファジーの不全による可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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