公募研究
オートファジーは細胞が栄養飢餓状態に陥った際にエネルギーを補填する機構として発見されたが、近年の研究により細胞内寄生菌の排除といった種々の生理機能に重要な役割を担っていることが明らかになっている。肺炎を引き起こすレジオネラは、細胞内寄生型細菌であり宿主細胞に対して放出するレジオネラエファクターにより宿主細胞の種々の生理機能をコントロールする。また、レジオネラはオートファジーを抑制することが明らかになっている。Stx17は小胞体に局在するSNARE分子として同定されていたが、オートファジーの開始からオートファゴソームとリソソームの融合までオートファジーにおいて多岐に機能していることが明らかになっている。更に、我々は栄養状態においてStx17はミトコンドリア分裂因子であるDrp1の機能を制御することによりミトコンドリアの分裂を促進していることを明らかにしている。レジオネラによるオートファジー抑制機構の解析の一旦でレジオネラ感染がStx17に与える影響を観察したところ、レジオネラ感染によりStx17が分解されていることを見いだした。また、dotA変異株の感染では分解が見られないことから、レジオネラはレジオネラエフェクター依存的にStx17を分解していることが明らかとなった。そこで、次にStx17の分解に関わるレジオネラエフェクターの同定を試みた。レジオネラエフェクターはゲノム状のいくつかのislandに分散してコードされており、各々のislandを欠損した株が作製されている。当該欠損株を用いた解析よりStx17を分解するエフェクターをコードするislandを同定することに成功し、そのislandでコードされている各々のエフェクターの解析よりStx17を分解するレジオネラエフェクターを同定した。更に、当該エフェクターを発現によりオートファゴソーム形成が抑制されることも明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
J. Cell Sci.
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10.1242/jcs.158634.
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