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2014 年度 実績報告書

オートファジーが関与する小胞体品質管理機構の解明

公募研究

研究領域オートファジーの集学的研究:分子基盤から疾患まで
研究課題/領域番号 26111521
研究機関京都産業大学

研究代表者

潮田 亮  京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (30553367)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードタンパク質品質管理 / レドックス制御 / 小胞体品質管理 / カルシウムホメオスタシス / ERファジー / コラーゲン
研究実績の概要

小胞体関連分解ではミスフォールドタンパク質の蓄積による小胞体ストレスから細胞を守るため、小胞体からサイトゾルへ逆行輸送させ、サイトゾルのユビキチンプロテアソーム系で分解させる小胞体関連分解と呼ばれる一連の分解系が存在する。逆行輸送チャネルから排出されない巨大な凝集体の除去機構は不明な点が多いのが現状であった。我々は基質としてコラーゲンを用い、コラーゲン特異的分子シャペロンHsp47ノックアウトによりコラーゲンを蓄積させた。肝星細胞において、コラーゲンの蓄積は、オートファジーを惹起させ、また小胞体ストレス依存的なアポトーシスを誘発していることが明らかになった。Hsp47ノックアウトおよびオートファジー阻害はコラーゲンを小胞体に蓄積させ、肝星細胞の数を肝臓から減少させることがきる。このことは肝硬変の治療戦略にとって新しい知見となった(K.Kawasaki, R.Ushioda et al. 2015 J. Biol. Chem. )。以前の報告からHsp47siRNAを肝臓に運ぶ技術は確立されており、また、連携研究者である永田和宏教授のもとで新しくHsp47阻害剤の開発されており、オートファジー阻害を基にした治療戦略を考えていきたい。さらに我々は小胞体に局在し、オートファジーの活性を制御する新しい因子の同定に成功している。現在、この因子に関して制御メカニズムの解明、線虫を用いたフェノタイプ解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

凝集体コラーゲンがオートファジーで定常的に分解されることがわかり、オートファジーの阻害が細胞死を招くことを見出した。凝集体コラーゲンの機序を理解する上で、モデル基質としての役割を果たすこともわかり、今後の詳細な分解メカニズム解明の足掛かりになることがわかった。また現在、新たなオートファジー制御因子を同定し、機能解析を進めることが出来た。

今後の研究の推進方策

小胞体に蓄積するミスフォールドタンパク質としてⅠ型コラーゲンを用いることにする。I型コラーゲンはα1鎖2本とα2鎖1本の合計3本鎖から構成される三量体を最小単位とする。コラーゲン分子は生命活動に必須の分子であり、遺伝子変異による機能不全は骨形成不全に代表されるコラーゲン病を生じる。
Mov13細胞はI型コラーゲンα1鎖をコードする遺伝子(COL1A1)の発現を欠損させたマウスに由来する繊維芽細胞であり、Mov13細胞ではα2鎖のみが発現している。我々はMov13細胞に変異型α1鎖を入れ戻した安定発現株を準備しており、ミスフォールドした三量体コラーゲンは小胞体に蓄積し、オートファジーによって分解がなされることがわかっている。凝集体コラーゲンに結合する因子をMS解析により同定し、凝集体コラーゲンの分解処理に関わる因子の解析を行っていきたい。
巨大分子を形成するモデル基質としてコラーゲン、ATZ変異体、高分子量J鎖を用いて分解への影響を観察する。肝星細胞においてコラーゲン特異的分子シャペロンHsp47のノックアウトでコラーゲンの蓄積が観察され、これに伴う肝星細胞の細胞死は肝硬変の治療戦略に用いられている。我々は肝星細胞のオートファジーを阻害することによって、小胞体ストレスの亢進および細胞死を促進することを明らかにしている。結合因子が同定されれば、肝硬変の新しい治療ターゲットとなり得、研究室に用意されたこれらの細胞で詳細なメカニズムを解析することは意義深い。また、結合因子の同定に至らなかった場合、各種クロスリンカーを用いて条件検討を行う予定である。また、我々は小胞体環境で結合アッセイを行うことが出来るYeast Two-hybridシステムを持っている。ライブラリーに存在する小胞体内腔タンパク質と結合アッセイを行うことで結合タンパク質の同定に挑みたい。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Retarded PDI diffusion and a reductive shift in poise of the calcium depleted endoplasmic reticulum2015

    • 著者名/発表者名
      Avezov E, Konno T, Zyryanova A, Chen W, Laine R, Crespillo-Casado A, Melo E, Ushioda R, Nagata K, Kaminski CF, Harding HP, Ron D
    • 雑誌名

      BMC Biol.

      巻: 10;13(1) ページ: 1-15

    • DOI

      10.1186/s12915-014-0112-2

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Deletion of the Collagen-specific Molecular Chaperone Hsp47 Causes Endoplasmic Reticulum Stress-mediated Apoptosis of Hepatic Stellate Cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki K, Ushioda R, Ito S, Ikeda K, Masago Y, Nagata K
    • 雑誌名

      J Biol Chem.

      巻: 290 ページ: 3639-3646

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.592139.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] オートファジーが関与する小胞体品質管理機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      潮田 亮
    • 学会等名
      新学術領域「オートファジーの集学的研究」班会議
    • 発表場所
      札幌市シャトレーゼガトーキングダム
    • 年月日
      2014-12-09 – 2014-12-11
  • [学会発表] 還元酵素ERdj5を介した小胞体恒常性維持機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      潮田 亮、川崎 邦人、永田 和宏
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜市パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] ERdj5-mediated ER homeostatic mechanism2014

    • 著者名/発表者名
      Ryo Ushioda
    • 学会等名
      日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都市国際会議場
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 還元酵素ERdj5を介した小胞体恒常性維持機構2014

    • 著者名/発表者名
      潮田亮
    • 学会等名
      第9回小胞体ストレス研究会
    • 発表場所
      徳島市徳島大学医学部
    • 年月日
      2014-07-04 – 2014-07-05
  • [学会発表] 還元酵素ERdj5を介した小胞体恒常性維持機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      潮田 亮、永田和宏
    • 学会等名
      日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      奈良市奈良県新公会堂
    • 年月日
      2014-06-11 – 2014-06-14
  • [図書] 医学のあゆみ2015

    • 著者名/発表者名
      潮田 亮、永田 和宏
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      医歯薬出版
  • [図書] 実験医学2014

    • 著者名/発表者名
      潮田 亮
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      羊土社
  • [備考] 京都産業大学 永田研ホームページ 潮田プロフィール

    • URL

      http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~nagata/ushioda_profile.html

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公開日: 2016-06-01  

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