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2014 年度 実績報告書

炎症反応に呼応する神経外環境因子によるアミロイドβタンパク代謝制御機構の解明

公募研究

研究領域脳内環境:恒常性維持機構とその破綻
研究課題/領域番号 26111705
研究機関東京大学

研究代表者

富田 泰輔  東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30292957)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードプロテアーゼ / アルツハイマー病 / アミロイドβ / アストロサイト
研究実績の概要

高齢化社会を迎え、アルツハイマー病(AD)は大きな社会問題となっている。これまでに申請者は、AD発症に関わるAβの代謝機構について研究を進めてきた。その過程で細胞外Aβ量が炎症性メディエーターであるスフィンゴシン1リン酸(S1P)により変化すること、また初代培養神経細胞培養系と神経・グリア共培養系とでAβ量の変動が異なることを見出していた。そこでこれまでに本研究領域の公募班員としてこれらの分子機構について解析を行い、アストロサイトーマ培養上清に新規Aβ分解活性を示す、亜鉛感受性のキモトリプシン型セリンプロテアーゼが含まれていることを見出した。そこで各種阻害剤やノックダウン、過剰発現系などを用いて、その責任酵素として、組織型カリクレインファミリー分子の一つであるKLK7を同定した。これまでにKLK7の発現は皮膚に多く知られているが、脳における発現やその機能については全く不明である。そこで初代培養系を用いて発現および機能解析を行い、マウスやラット初代培養アストロサイトにKLK7が分泌顆粒様に多く発現していること、Aβ処理によってそのmRNA発現が上昇することを見出した。一方、LPS刺激ではKLK7発現量に変化はなく、特異的な炎症反応に呼応してKLK7の発現が変動している可能性が示された。そしてKLK7ノックアウトマウスを入手し、脳において内因性の可溶Aβ量が有意に上昇していることを見出した。これらの結果から、in vivoにおいてKLK7が脳内Aβ量を規定するアストロサイト由来の酵素であることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで脳における機能が未知であったKLK7をアストロサイト由来新規Aβ分解酵素として同定し、実際にノックアウトマウスを用いて生体内での機能を明らかに出来た。極めて順調に研究が進展していると言える。

今後の研究の推進方策

KLK7ノックアウトマウスとADモデルマウスを交配し、アミロイド蓄積病理への影響を検討する。またアストロサイトへ各種薬物刺激を行い、KLK7発現上昇による新規治療薬開発の可能性を検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] アルツハイマー病に対する先制治療法の開発に向けて2015

    • 著者名/発表者名
      富田泰輔
    • 学会等名
      東京都医学研セミナー
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-03-31
    • 招待講演
  • [学会発表] アルツハイマー病に対する先制治療法の開発に向けて2015

    • 著者名/発表者名
      富田泰輔
    • 学会等名
      京都大学再生医科学研究所 再生増殖制御学セミナー
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-02-04
    • 招待講演
  • [学会発表] 遺伝学的アルツハイマー病危険因子の分子病態解明と先制医療の開発2015

    • 著者名/発表者名
      富田泰輔
    • 学会等名
      長寿研シンポジウム「アルツハイマー病先制治療薬の創出」
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2015-01-17
    • 招待講演
  • [学会発表] 認知症の撲滅:アルツハイマー病に対する先制治療薬開発に向けて2015

    • 著者名/発表者名
      富田泰輔
    • 学会等名
      日本薬学会東海支部特別講演会(名古屋市立大学)
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2015-01-16
    • 招待講演
  • [学会発表] Functional analysis of Aβ-degrading serine protease activity in the supernatant from astrocytic cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Takuya Tatebe, Kiwami Kidana, Masahiro Akishita, Yasuyoshi Ouchi, Takeshi Iwatsubo, Taisuke Tomita
    • 学会等名
      Neuroscience 2014
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      2014-11-19
  • [備考] 教室ウェブサイト

    • URL

      http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~neuropsc/

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公開日: 2016-06-01  

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