公募研究
脳神経系の形成・発達を制御する環境要因の解明は、神経科学の最重要課題の一つである。受精から始まる哺乳類の一生において最も劇的な環境変化は「出生」といえるが、出生が脳内環境や脳神経系の発達に及ぼす影響は不明な点が多い。我々は最近、マウス大脳皮質一次体性感覚野での感覚地図形成が、新生仔の出生により制御されることを見いだした。そこで本研究課題では、我々が独自に見出した「出生による脳内環境と回路形成の制御」に焦点を絞り、その分子メカニズムの全貌解明を目指している。これまでに出生が、神経回路の形成のみならず、哺乳行動の発達も制御していることを見いだした。さらに現在は、出生後に生じる神経細胞の成熟機構の解析を行っている。本研究の成果は、神経回路の形成制御メカニズムの解明と言った基礎神経科学のみならず、ヒトの早産による脳機能障害のメカニズムの理解などの臨床周産期医学や小児科領域にも大きな波及効果を及ぼすなど社会的インパクトも大きい。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り進行している。
現在は、出生後に見られる神経細胞成熟の制御機構の解析を行っている。候補遺伝子を同定し、機能解析を行った結果、樹状突起の発達を制御していることを見いだした。今後はさらにデータを積み重ねて論文発表する予定である。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Cerebral Cortex
巻: 25 ページ: 3535-3546
10.1093/cercor/bhu197
Development, Growth & Differentiation
ページ: in press
10.1111/dgd.12208
生体の科学
巻: 66 ページ: 1-6
Scientific Reports
巻: 4 ページ: 6501
10.1038/srep06501
Neuroscience Research
巻: 86 ページ: 59-65
10.1016/j.neures.2014.06.006
Molecular Brain
巻: 7 ページ: 8
10.1186/1756-6606-7-8
金沢大学十全医学会雑誌
巻: 123 ページ: 34
http://square.umin.ac.jp/top/kawasaki/Welcome.html