公募研究
アルツハイマー病の病態は、ベータアミロイドペプチ(Aβ)のオリゴマー形成、ベータシート構造を持つアミロイドフィブリルを主成分とする老人斑の形成、異常にリン酸化されたタウ蛋白を主成分とする神経原線維変化の形成、神経細胞死と進んでいくと考えられている。しかしながら、それぞれの異常蛋白相互の関連については良く解っていない。これらの異常蛋白相互の関連を明らかにするためには、複数の異常蛋白をin vivoで同時に画像化する技術が不可欠である。本研究では、Aβオリゴマー、老人斑、神経原線維変化、の3つの標的に的を絞り、老人斑を形成する遺伝子改変マウス、神経原線維変化を形成するマウス、両者を形成するマウスに、我々の開発した画像化試薬の混合液を投与して、多重フッ素MR画像法で同時画像化を行うことである。平成26年度は、Aβオリゴマーと老人斑(凝集したAβ)の両方に結合する化合物Shiga-Y5をアルツハイマー病のモデル動物に経口投与し、画像診断薬としての作用に加え、治療効果を示すことを明らかにした。また、バンデルビルト大学との共同研究で、Shiga-Y5を鼻腔内投与すると効果的に脳内へ移行させうることを明らかにした。また、老人斑には鉄を含む金属が含まれ、MRIで検出できる可能性が指摘されているが、アルツアヒマー病脳で鉄代謝に関わるミトコンドリアフェリチンの作用についてその一端を明らかにして、論文発表した。以上の成果は、国際学術誌4報に論文発表した。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度は、Aβオリゴマーと老人斑(凝集したAβ)の両方に結合する化合物Shiga-Y5をアルツハイマー病のモデル動物に経口投与し、画像診断薬としての作用に加え、治療効果を示すことを明らかにした。また、バンデルビルト大学との共同研究で、Shiga-Y5を鼻腔内投与すると効果的に脳内へ移行させうることを明らかにした。また、老人斑には鉄を含む金属が含まれ、MRIで検出できる可能性が指摘されているが、アルツアヒマー病脳で鉄代謝に関わるミトコンドリアフェリチンの作用についてその一端を明らかにして、論文発表した。これらの成果は、国際学術誌4報に論文発表するとともに、国際アルツハイマー病会議(AAIC2014)、北米神経科学会(Neuro2014)、第37回日本神経科学大会、第9回日本分子イメージング学会など、国内外の学会で発表した。以上のことから、研究はおおむね順調に推移していると判断した。
平成27年度は、神経原線維変化を検出するフッ素MR画像用の化合物を開発し、老人斑と神経原線維変化の同時撮影に挑戦する。そのために、まず神経原線維変化(タウ病変)を標的にした研究を進める。その上で、老人斑と神経原線維変化の同時撮影に挑戦する。また、Aβ オリゴマーに関する研究も同時進行で進める。我々は、Aβ 凝集体のみならず Aβ オリゴマーにも結合して画像化ができるShiga-Y5とAβ 凝集体のみに強く結合するShiga-X22を開発した。平成26年度にShiga-Y5とShiga-X22の混合液をAPP/PS1マウスに投与して、2つの化合物それぞれのMR画像を得た後、サブトラクションすることで、Aβ オリゴマーの候補画像を得て日本語論文として発表した。平成27年度は、Aβ オリゴマーに関しての研究成果を英語論文として発表することを目標とする。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)
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