α-synはパーキンソン病において神経細胞内に形成される封入体(レビ-小体)の主要成分であり、その点変異(A53Tなど)が家族性パーキンソン病の原因として報告されている。私達は、マウス神経細胞の初代培養においてIP3などのCa2+刺激で内在性のα-synがエクソソームに内包化されることを見出した。このことから、エクソソームによるグリア細胞の活性化を担う分子としてα-synに注目した。私達は、Ca2+刺激依存的にα-synをエクソソーム内にリクルートする分子があるのではないかと考え、Ca2+刺激でα-synと伴にエクソソームに内包化される分子をショットガン質量分析の結果から25種に絞り込んだ。次に各候補分子をα-synとともに過剰発現させてみたところ、ある分子がCa2+刺激依存的にα-synをエクソソームにリクルートすることを見出しIEP1(IP3-induced exosomal protein 1)と名付けた。IEP1はミスフォールド蛋白質に結合するシャペロン様の膜蛋白質として機能することが報告されており、過剰発現の実験でα-synとの結合が確認された為、IEP1がCa2+刺激で不安定化したα-synなどの蛋白質をエクソソーム内へとリクルートし、細胞外への排出を促進する分子ではないかと考えている。この過程は神経細胞の保護に働くが、過剰になるとエクソソームの標的であるグリア細胞に強い炎症応答を惹起し、脳ホメオスタシスの破綻に繋がると予想される。
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