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2014 年度 実績報告書

PINK1の作動機構解明からミトコンドリアホメオスタシスと神経変性の核心に迫る

公募研究

研究領域脳内環境:恒常性維持機構とその破綻
研究課題/領域番号 26111729
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

松田 憲之  公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, プロジェクトリーダー (10332272)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードPINK1 / Parkin / ユビキチン / ミトコンドリア
研究実績の概要

申請者は既に2013年に、ParkinのSer65がPINK1依存的にリン酸化されることや、このSer65リン酸化がParkinの機能に重要であることを報告している(Iguchi, JBC, 2013)。にもかかわらず、PINK1の機能がParkinのリン酸化だけで説明できるかというと、決してそうではない。というのも、ParkinのSer65リン酸化模倣変異体(S65D, S65E)が細胞内でPINK1機能をバイパスして活性型ユビキチン連結酵素(E3)に変換されることはないし、変異Parkinはミトコンドリアにも移行しないからである。これらの結果は、Parkin以外にも重要な未同定のPINK1基質が存在することを強く示唆している。
そこで申請者らは新しいPINK1基質の同定を目指したスクリーニングを行い、昨年度にユビキチンこそが未同定であったPINK1の鍵基質であることを見出した。具体的な実験の成果として、1) PINK1免沈産物をsourceとして用いて試験管内でユビキチンのリン酸化を再構成できること、2) MS解析や変異導入法からユビキチンのリン酸化部位がSer65であること、3) ユビキチンのリン酸化模倣変異体(S65D)をin cellで共発現した時にParkinがミトコンドリア状態非依存的に活性化されること、4) 上記の現象はcell free系で試験管内再構成可能であること、などを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞内のミトコンドリアの品質管理がどのように行なわれており、それがどのようにパーキンソン病の発症を予防しているのかについて、PINK1/Parkin/ubiquitin の3者が協調して機能するプロセスの全体像を明らかにしつつあり、研究はおおむね順調に推移している。

今後の研究の推進方策

パーキンソン病の発症を予防している細胞内のミトコンドリアの品質管理について、PINK1 によってリン酸化されたユビキチンが Parkin に対して果たす役割を中心に、今後も引き続き未解明点の解明を進める。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ubiquitin is phosphorylated by PINK1 to activate Parkin.2014

    • 著者名/発表者名
      Koyano, F., Okatsu, K., Kosako, H., Tamura, Y., Go, E., Kimura, M., Kimura, Y., Tsuchiya, H., Yoshihara, H., Hirokawa, T., Endo, T., Fon, E-A., Trempe, J-F., Saeki, Y., Tanaka, K., and Matsuda, N.
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 510 ページ: 162 - 166

    • DOI

      doi:10.1038/nature13392

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] リン酸化ユビキチンは新しいパーキンソン病発症の抑制因子である2014

    • 著者名/発表者名
      小谷野史香、松田憲之
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 32 ページ: 2616 - 2620

  • [雑誌論文] 遺伝性パーキンソン病関連分子 PINK1 によってリン酸化されたユビキチンが Parkin を活性化する2014

    • 著者名/発表者名
      松田憲之
    • 雑誌名

      細胞工学

      巻: 33 ページ: 974-976

  • [学会発表] PINK1 によってリン酸化されたユビキチンは Parkin を活性化する2014

    • 著者名/発表者名
      小谷野史香、松田憲之
    • 学会等名
      第37回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
    • 招待講演
  • [学会発表] リン酸化ユビキチン:新たな「ミトコンドリア異常」伝達シグナル2014

    • 著者名/発表者名
      松田憲之
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
    • 招待講演
  • [備考] 所属プロジェクトの HP

    • URL

      http://www.igakuken.or.jp/project/detail/ubiquitin.html

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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