公募研究
哺乳類卵巣においては卵母細胞は複数種の体細胞に支持され、これらの細胞が作る球状の細胞の集合体を「卵胞」とよぶ。最も未成熟な原始卵胞は前顆粒細胞と小さな卵母細胞からなり、休眠状態で長期間卵巣内に蓄えられているが、刺激に応答して活性化すると成熟過程に入って排卵される。女性が40年という長い生殖器官を維持できるのは、原始卵胞の維持と活性化のバランスをとる機構が働いているためだが、その分子機構の詳細については未だ不明である。原始卵胞活性化(PFA)を制御する機構としては、PI3K 経路と転写因子 Foxo3aによる制御が知られている。我々は生殖細胞特異的な bHLH 型転写因子 Sohlh1とSohlh2がFoxo3aのリン酸化抑制を介してPFAを抑制に機能していることを発見したが、恒常的な卵胞成熟サイクルの中でPFAの抑制と解除がどのように制御されているのかは不明のままである。当該研究費支援期間中は、Sohlh1結合タンパク質の網羅的解析により同定された新規結合因子の機能解析を通じて、マウスにおけるPFA制御機構を解明することを目的としている。現在までのところ、輸送中の問題などによりノックアウトマウス導入がやや遅れたが、その後の掛け合わせは順調にすすんでいる。その他いくつかの実験は順番が当初の予定と前後しつつも、比較的順調に進んでいる。
3: やや遅れている
コンディショナルノックアウトマウスを凍結胚によって本学動物施設に導入する予定だったが、輸送中の事故により購入した凍結胚が死滅しており、再度輸入するのに手間取った。また、研究室が学内で引っ越しを行ったため、2ヶ月ほど実験が滞った期間があった。
ノックアウトマウスの解析を早急にすすめ、Sohlh1結合因子の卵胞成熟における機能を明らかにする。また、その分子的な作用機序についても鋭意探索を進めて行く予定である。
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10.1530/REP-14-0171
Mol Hum Reprod
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