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2014 年度 実績報告書

H3K9脱メチル化エピゲノムによる生殖細胞の機能制御

公募研究

研究領域生殖細胞のエピゲノムダイナミクスとその制御
研究課題/領域番号 26112509
研究機関徳島大学

研究代表者

立花 誠  徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (80303915)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード生殖細胞 / ヒストン / 脱メチル化
研究実績の概要

ヒストンH3 の9 番目のリジン(H3K9)のメチル化は、転写抑制に働くエピジェネティックマークである。本申請課題の研究の目的は、H3K9の脱メチル化によるエピゲノム編成の時空間ダイナミクスとその分子基盤を理解すること、およびそのエピゲノム再編が生殖細胞の分化・機能に果たす役割を明らかにすることである。以上の観点から、H3K9脱メチル化酵素であるJmjd1a、およびそのアイソザイムであるJmjd1bが、生殖細胞の機能にどのように関わっているのかについて、主に遺伝学的手法によって研究を進めた。Jmjd1a欠損の雄マウスは半数体までの分化は正常であるが、伸長型精子細胞への分化が阻害され手不妊になる。それに対し、Jmjd1b欠損の雄マウスでは精子形成に問題はなく、妊孕性もある。雄性生殖細胞の分化過程におけるJmjd1aとJmjd1bの発現を調べた結果、胎生後期にピークがあることが分かった。よってJmjd1aとJmjd1bが雄性生殖細胞の分化に重複した機能を有する可能性を考え、両酵素を生殖細胞特異的に欠損させたマウス(Jmjd1a/b両欠損マウス)を作成した。Jmjd1a/b両欠損マウスの雄では、精巣の著しい矮小化が観察された。さらに詳細な解析を行った結果、減数分裂に移行する前に生殖細胞が枯渇していることが分かった。これらの結果から、有性生殖細胞の維持にH3K9の脱メチル化が必須であること、さらにH3K9脱メチル化酵素であるJmjd1aとJmjd1bに機能の重複があることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H26年度計画1.生殖細胞の各分化段階でのH3K9 脱メチル化酵素の発現プロファイルを明らかにする。
[計画1の進行状況] 免疫組織染色法によって、Jmjd1aとJmjd1bは胎生期の雄性生殖細胞で発現していること、さらにその発現は受精後15-17日にピークとなることを明らかにした。
H26年度計画2.Vasa-Cre, Jmjd1a/b-conditional KO マウスの雄性生殖細胞の表現型を明らかにする。
[計画2の進行状況] Vasa-Cre, Jmjd1a/b-conditional KO マウスの雄では、精巣の著しい矮小化が観察された。さらに詳細な解析を行った結果、減数分裂に移行する前に生殖細胞が枯渇していることが分かった。
上記のように、平成26年度の計画に掲げた研究方針はおおむね順調に進んだと判断した。

今後の研究の推進方策

1)H3K9 脱メチル化エピゲノムによる生殖細胞の遺伝子発現制御機構を明らかにする。
方法:平成26 年で得られた結果をもとに、生殖細胞におけるJmjd1a/b の標的遺伝子を明らからかにする。標的遺伝子の発現とH3K9 の脱メチル化との関係をクロマチン免疫沈降によって確認し、Jmjd1a/b による遺伝子発現制御機構の分子基盤を理解する。
2)H3K9 脱メチル化が“体細胞から減数分裂への移行”や“ゲノムインプリントの確立”に寄与しているのかについて検証する。
方法:Jmjd1aホモ, Jmjd1bヘテロ欠損の生殖細胞において、減数分裂が正しく進行しているのかを組織・細胞染色で明らかにする。Jmjd1aホモ, Jmjd1bホモ欠損の生殖細胞のゲノムを用い、ゲノムインプリント確立の異常の有無を調べる。また、Jmjd1aホモ, Jmjd1bホモ欠損の生殖細胞において、Stra8 やDnmt3a の発現が実際に低下しているのかについて、細胞レベルで検証する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] The Hypoxia-Inducible Epigenetic Regulators Jmjd1a and G9a Provide a Mechanistic Link between Angiogenesis and Tumor Growth2014

    • 著者名/発表者名
      Ueda J, Ho JC2, Lee KL, Kitajima S, Yang H, Sun W, Fukuhara N, Zaiden N, Chan SL, Tachibana M, Shinkai Y, Kato H and *Poellinger L.
    • 雑誌名

      Mol. Cell. Biol.

      巻: 34 ページ: 3702-3720

    • DOI

      10.1128/MCB.00099-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transgenic Expression of Map3k4 Rescues T-associated Sex Reversal (Tas) in Mice2014

    • 著者名/発表者名
      Warr N, Siggers P, Carréa GA, Bogani D, Brixey R, Akiyoshi M, Tachibana M, Lydia Teboul L, Wells S, Sanderson J and *Greenfield A
    • 雑誌名

      Hum. Mol. Genetics

      巻: 23 ページ: 3035-3044

    • DOI

      10.1093/hmg/ddu020

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] エピゲノム調節によるほ乳類の性決定機構2014

    • 著者名/発表者名
      立花誠
    • 学会等名
      第59回日本生殖医学会学術講演会・総会
    • 発表場所
      京王プラザホテル
    • 年月日
      2014-12-04
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス性決定のエピジェネティックな制御機構2014

    • 著者名/発表者名
      立花誠
    • 学会等名
      第32回日本受精着床学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      ハイアット リージェンシー東京(東京都新宿区)
    • 年月日
      2014-07-31
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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