研究実績の概要 |
本研究では、新規蛍光アクチンプローブを用いた高効率・高解像度の改良型単分子スペックル顕微鏡により、上皮細胞ラテラル領域に発生する力の細胞間情報伝達における役割を明らかにすることを目的としている。本年度は以下の4点において進展が得られた。(1) 改良型単分子スペックル顕微鏡法技術の詳細に関する著書を発表した (Yamashiro et al., Methods in Cell Biol., 2015)。(2) 培養上皮細胞間接着構造(アドヘレンスジャンクション)のアクチン構造一分子ライブイメージングに成功した。(3) 細胞競合モデルMDCKとMDCK-RasV12の共培養系を用いて、正常・がん細胞境界のアクチン一分子ライブイメージングに成功した。現在、正常細胞間またはがん細胞間とのアクチン動態の差異を検討している。(4) 昨年度において、改良型単分子スペックル顕微鏡法により細胞-基質間接着(接着斑)とアクチン線維流動の相関を初めて高精度で明らかにした (Yamashiro et al., Mol. Biol. Cell, 2014)。この研究を踏まえ、細胞-基質間接着(接着斑)によるアクチン流動の変化の意義について新しいモデルを提唱した(Yamashiro and Watanabe, J. Biochem., 2014)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に則り、培養上皮細胞間接着構造(アドヘレンスジャンクション)のアクチン構造一分子ライブイメージングと、細胞競合モデルMDCKとMDCK-RasV12の共培養系において正常・がん細胞境界のアクチン一分子ライブイメージングに成功した。現在、上記構造のアクチン動態解析を進めており、基本的な知見が得られてきている。また、これまでの研究成果について英文総説(Yamashiro and Watanabe, J. Biochem., 2014)及び著書 (Yamashiro et al., Methods in Cell Biol., 2015)を発表した。
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