研究領域 | 上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 |
研究課題/領域番号 |
26112721
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
森本 充 独立行政法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, チームリーダー (70544344)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 気管 / 発生 / 細胞形態 |
研究実績の概要 |
我々は本研究課題においてマウス気管の管腔成長メカニズムの解明に取り組んでいる。これまでに気管内腔の成長と、個々の上皮細胞の増殖、3次元構造変化の定量的な解析に取り組んだ。気管は胚発生を通して常に成長をつづけている。発生過程で気管上皮細胞の細胞増殖能を時系列に沿って追って解析したところ、E15までは50%の細胞が増殖期に入っていたが、E16以降に急激に割合が下がり20%前後になることがわかった。また、気管の管腔構造を3次元で定量的に測定したところ、E16-18.5の間に急激に管腔表面の拡大が起こることがわかった。同時期に上皮細胞の形態が拡大し、整列様式が重層様構造から偽重層上皮構造への変化が起きていたことから、上皮組織の再編成が気管内腔の拡大に寄与している可能性が示唆された。さらに1細胞レベルの形態変化を詳細に解析した結果、前述の気管形成中期で見られた重層様構造から単層構造への形態変化には、特に 1)比較的均一な円柱形態への変化、2) 頂表面を持たない細胞が頂点面を獲得することが大きく寄与し、その結果として気管内腔を拡大させている可能性が考えられた(未発表)。現在我々は、上皮の再編成を誘導するのは間充織の成熟化であると考えており、間充織で機能する遺伝子の改変マウスを作成し、上皮細胞の形態変化、配列様式の変化を引き起こす上皮ー間充織相互作用を分子レベルでメカニズムの解明に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の予定していた、発生中の気管が成長する過程の内腔形態をmicroCTで定量的に撮影、上皮組織を一細胞レベルで形態撮影し定量化する、モザイク標識実験による細胞の拡散パターン解析、気管軟骨の形成阻害実験など、予定していたすべての実験を終えて解析することができた。さらに計画には含まれていなかったが、気管形態異常を示すの遺伝子改変マウスの上皮組織を単離してオルガノイド培養によって、細胞の形態変化をin vitroで再現し、形態変化を撮影した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、気管軟骨による牽引が気管の大型化へ与える影響の解析と、気管が短くなる遺伝子改変マウスを用いた上皮管腔の組織再編成の分子メカニズムの解明に取り組む。
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