研究領域 | 上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 |
研究課題/領域番号 |
26112723
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
永樂 元次 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, チームリーダー (40415097)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 形態形成 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
上皮組織の形態形成を理解するためには、細胞の分化や増殖などを制御する化学的特性と組織の物性や内部応力などの力学的特性の二つの側面を明らかにする必要がある。申請者はこれまでに、胚性幹細胞(ES細胞)からの分化誘導系を用いて、in vitroでマウスおよびヒトの眼杯形成を再現できる実験系を構築した。解析の結果、網膜前駆神経上皮はcanonical Wntシグナルにより神経網膜(NR)と網膜色素上皮(RPE)の二つの分化状態へと領域化され、ミオシン活性の時空間制御を通じて、領域特異的な物性を獲得することが眼杯形成に必要であることが明らかになった。しかしながらこういった化学的シグナルがどのようにして組織の形態変化を実現する力学的シグナルへと変換されるのかという分子レベルのメカニズムについては、他の多くの上皮形態形成過程と同様にほとんど明らかにされていない。そこで本研究では、ES細胞からの眼杯形成系を用いて、上皮組織において化学的シグナルが力学的シグナルに変換されるための分子機構を明らかにし、in vitroで上皮組織の変形をコントロールする技術の確立を目指した。 平成26年8月、当初の予想に反し、組織形態形成過程の細胞内カルシウム動態解析を行った結果、その解釈を確定するために新たな予備実験が必要であることが明らかになった。また、それに伴い新たな解析手法の開発が必要となったため、当初の予定より研究の進展に4ヶ月の遅延が生じた。当初予定していなかった、実験計画の変更が生じたために、研究費の繰越を行なった。繰り越した研究費でカルシウム動態の解析を行い、現象を定量化することに成功した。この定量データを元にシミュレーションを行ない、形態形成過程の力学動態を予測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カルシウム動態解析を行い、カルシウム動態と形態形成をつなぐ新たな形態形成モデルを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
眼杯形成過程においてマクロな形態と局所の細胞の間にあるフィードバックの関係を明らかにすることができた。今後は、より詳細な分子機構を明らかにしていく予定である。
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