同種の集団中に於ける花器官数の確率的なばらつきの野外調査を進めて、その統計解析から多くの種に共通する花器官数の頻度分布法則を発見した。キンポウゲ科の複数の属の花被片、および、キク科の舌状花に共通する法則(数の平均値μとある特別な数dとの差が数の標準偏差σの平方根に一致する; σ=|μ-d|1/2)を見出した。花器官数の確率性に、科を超えた普遍性とともに、属および器官特異性(dの値の違い、他)が明らかとなった(Annals of Botany 2016)。 加えて、以下2件の領域内共同研究を進めた。 (1)Arabidopsisの側根間隔を調節する側方抑制モデルをと共に構築した。この数理モデルは、側根間隔の頻度分布の実験データ(野生型と間隔が乱れる変異体)を統一かつ定量的に再現した。 (2) Arabidopsis根端メリステムのドーム形状を定量的に解析した。主根と側根で共通して、楕円であることを見出した。一方で、側根原基は楕円ではなくより尖った形状を持つことも見出した。これらを細胞増殖と変形から理解するために、側根形成初期の内鞘細胞(形態、分裂の面とタイミング)の情報をライブイメージングデータからCell vertex modeに導入した。各内鞘細胞の力学特性が側根原基のドーム形状に与える影響をモデルで解析した。
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