公募研究
本研究は、ナミテントウの極めて多様性に富む斑紋多型およびテントウムシに関連した擬態斑紋に着目する。研究材料には、各種テントウムシおよびテントウムシとは独立に擬態斑紋を獲得したテントウノミハムシを用いる。申請者らが世界に先駆けてナミテントウにおいて同定した翅全体の斑紋パターンを決定する転写因子(斑紋プレパターン遺伝子)に焦点を絞り、材料に用いる昆虫の利点や申請者らがこれまでに確立した遺伝子機能解析法を活かし、擬態斑紋がもたらされたゲノム・遺伝子相関を解明することを目的とする。形質転換ベクターの有効性を迅速に検証するため、最近開発された新規in vivoエレクトロポレーション法の確立をナミテントウにおいて試みたところ、体細胞トランスジェネシスに成功した。今後は形質転換ベクターの導入効率の改善やナミテントウに有効な高発現プロモーターの探索を行う予定である。ナミテントウとは異なる遺伝様式の斑紋多型をもつヒメカメノコテントウにおいて斑紋パターンを決定する転写因子を候補遺伝子アプローチにより探索した。ヒメカメノコテントウから新たに6つの転写因子をコードする遺伝子のクローニングを行い、larval RNAi法による遺伝子機能解析を行った。その結果、RNAiにより成虫の鞘翅のメラニンパターンが消失する遺伝子の同定に成功した。今後はこの遺伝子について詳細な解析を進め、斑紋多型をもたらすゲノム要因を解明したい。
2: おおむね順調に進展している
研究を遂行する上で重大な問題点などはなく、当初の計画通り概ね順調に進展している。しかしながら、RNA-seq解析用に確立したナミテントウの系統において産卵数および孵化率が低下したため、サンプリングが遅れてしまった。
RNA-seq解析用のナミテントウについては、再度系統を確立し、サンプリングを進めることとした。その他の点については、研究遂行上の重大な問題点は現時点ではないため、予定通り研究計画を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
PLoS ONE
巻: 9 ページ: e100804
doi:10.1371/journal.pone.0100804