公募研究
陸上植物は、受精によって配偶体 (n) 世代から胞子体 (2n) 世代へと世代交代を行う。本研究では、クロマチン状態と遺伝子発現との相互作用を「エピゲノム・遺伝子発現相関」と名づけ、陸上植物の受精による世代交代を制御するエピゲノム・遺伝子発現相関を解明することを目的とした。コケ植物ヒメツリガネゴケでは、抑制型クロマチン修飾H3K27me3の唯一の修飾酵素PpCLFの発現が受精によって消失することが知られている。その消失に端を発するエピゲノム・遺伝子発現相関の変動を、次世代シーケンサーを用いたエピゲノム・トランスクリプトーム解析とライブイメージングによって解明することを試みた。平成26年度までに、エピゲノム・トランスクリプトーム解析によって、ヒストンバリアントH3.3がH3K27メチル化に機能することを明らかにし、H3.3が受精によるエピゲノム変動に寄与することを示唆する結果を得た。本年度は、主にクロマチン免疫沈降法-qPCR、逆転写-qPCR、ウェスタンブロット解析などによって、エピゲノム・トランスクリプトーム解析の結果を個別の遺伝子、タンパク質について検証、確認した。さらに、これらの結果をまとめて論文を執筆した。また、胞子体の発生に機能する遺伝子として単離したSDR1、SDR2遺伝子について、遺伝子欠失株と蛍光タンパク質遺伝子 (YFP) 挿入株を作出し、受精前後における欠失株の表現型やタンパク質の発現パターンを観察した。その結果、SDR遺伝子群が受精後の初期胚発生に機能することを示す結果を得た。上記の遺伝子欠失株、YFP挿入株に、開発済みのクロマチン修飾検出プローブを導入する実験が進行中である。これによって、遺伝子欠失株におけるクロマチン修飾動態観察、およびSDRタンパク質とクロマチン修飾の同時ライブイメージングが可能となり、受精後のエピゲノム変動に対するSDRタンパク質の機能を解明できる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
アウトリーチ活動など・オーガナイズ:亀井保博、高見英樹、早野裕、武田光夫、山本裕紹、服部雅之、村田隆、野中茂紀、玉田洋介、第10回NIBBバイオイメージングフォーラム 「新時代のバイオイメージングの開拓」、岡崎、2016年2月16、17日・一般公開:榊原恵子ら、研究写真展Beauty in Science研究写真展、北陸地域における女性研究者ネットワーク構築、金沢、2015年11月1日~13日
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Biochimica et Biophysica Acta-Gene Regulatory Mechanisms
巻: in press
just accepted
Developmental Biology
10.1016/j.ydbio.2016.01.012
Advances in Botanical Research
巻: 78 ページ: 3-35
10.1016/bs.abr.2016.01.001
BSJ-Review
巻: 7B ページ: 66-77
Plant and Cell Physiology
巻: 56 ページ: 640-649
10.1093/pcp/pcu214
http://www.nibb.ac.jp/sections/evolutionary_biology_and_biodiversity/hasebe/
http://www.nibb.ac.jp/evodevo/