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2014 年度 実績報告書

新しいゲノム遺伝子相関を創出する脊椎動物特有の遠位エンハンサーによる進化

公募研究

研究領域ゲノム・遺伝子相関:新しい遺伝学分野の創成
研究課題/領域番号 26113720
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

隅山 健太  独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, ユニットリーダー (00370114)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード進化 / 転写制御 / ゲノム編集
研究実績の概要

哺乳類進化にとって重要なステップである胎盤進化は、遺伝子発現制御機構進化のモデル系として非常に興味深い研究対象である。本研究はゲノム編集技術の技術改良を進め、その応用により胎盤発生およびその進化に大変重要な役割を果たしているHoxA13遺伝子、およびDlx3-4遺伝子の胎盤エンハンサーの胎盤独自の機能とその進化を明らかにすることを目的とする。各胎盤エンハンサー領域およびその関連領域を、私たち独自の改良型TALENおよびCRISPR/Cas9システムにより、欠失あるいはコア配列の書換えを行うことで胎盤でのエンハンサー機能が獲得された進化過程を明らかにすることを目指す。本年度は主にゲノム編集技術の改良に焦点を絞り、非コード領域の転写調節領域の欠失や書き換えを行うには既存の技術では時間と手間がかかりすぎるという問題点を克服するため、効率や特異性を高めて交配無しにF0世代での解析を可能にすることを目指した研究を行った。哺乳類での使用により適した性能を持つSuper-active TALENを開発し、これを用いて標準的な実験系統であるC57BL/6Nマウスで30%以上のホモノックアウト個体を細胞質へのmRNA微量注入法により得ることができた。また、CRISPR/Cas9を用いた新しい実験系を確立し、ほぼ100%のホモノックアウト個体をコンスタントに得ることに成功した(論文投稿中)。CRISPR/Cas9は標的配列選定の自由度が低く、ピンポイントにゲノム編集を行うにはTALENが向いていることから、今後さらにSuper-active TALENの改良を進め効率を上げる努力を行う。この技術を用いて、来年度は実際にHoxA13遺伝子およびDlx3-4遺伝子の非コード領域のゲノム編集を行い機能解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各胎盤エンハンサー領域およびその関連領域を独自の改良型TALENおよびCRISPR/Cas9システムにより欠失あるいはコア配列の書換えを行うことにより機能解析することを目指す。今年度は特に技術改良により哺乳類での使用により適した性能を持つSuper-active TALENを開発し、これを用いて標準的な実験系統であるC57BL/6NマウスでF0世代で、細胞質へのmRNA微量注入法により30%以上のホモノックアウト個体を得ることができた。また、CRISPR/Cas9を用いた新しい実験系を確立し、ほぼ100%のホモノックアウト個体をコンスタントに得ることに成功した。初期の目的を達成し、この点で順調に研究は進展している。反面、研究室所在地移転の時期と重なったこともあり、本来のターゲットへの応用実験がまだ進んでおらず、今後応用に集中して実験を進める予定である。

今後の研究の推進方策

今後はゲノム編集技術の技術改良の成果を用いて、胎盤発生およびその進化に大変重要な役割を果たしているHoxA13遺伝子、およびDlx3-4遺伝子の胎盤エンハンサーの胎盤独自の機能とその進化を明らかにすることを目的として、ゲノム編集による各胎盤エンハンサー領域およびその関連領域の欠失あるいはコア配列の書換えにより実験を進める。私たち独自の改良型TALENおよびCRISPR/Cas9システム両方を使い分けながら実験を進めるが、改良型TALENは効率の点ではCRISPR/Cas9に一歩譲るものの、任意にピンポイントでターゲットをデザインできる点と、効き方の違い(注入後非常に速く効き、その後速やかに失活する)において優れており、この長所を活かして実験のデザインを行っていく。また単純なノックアウトではほぼ100%の効率を実現できているCRISPR/Cas9システムを活用し機能解析を進め、ゲノム転写調節領域がどのような変化を経て胎盤でのエンハンサー機能を獲得進化したのかを解析していく予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Lineage specific conserved noncoding sequences of plant genomes: their possible role in nucleosome positioning.2014

    • 著者名/発表者名
      Nilmini Hettiarachchi, Kirill Kryukov, Kenta Sumiyama, and Naruya Saitou
    • 雑誌名

      Genome Biology and Evolution

      巻: 6 ページ: 2527-2542

    • DOI

      doi: 10.1093/gbe/evu188

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vivo FRET imaging of activities of PKA and ERK during neutrophil recruitment to inflamed intestines.2014

    • 著者名/発表者名
      Rei Mizuno, Yuji Kamioka, Kenji Kabashima, Masamichi Imajo, Kenta Sumiyama, Eiji Nakasho, Takeshi Ito, Yoko Hamazaki, Yoshihisa Okuchi, Yoshiharu Sakai, Etsuko Kiyokawa, and Michiyuki Matsuda
    • 雑誌名

      The Journal of Experimental Medicine

      巻: 211 ページ: 1123-1136

    • DOI

      doi: 10.1084/jem.20132112

    • 査読あり
  • [学会発表] Super-active TALEN with improved stability at 37 degree Celsius enables highly efficient and homogeneous gene knockout in mammalian embryos2014

    • 著者名/発表者名
      Ikeda, K., Y. Terahara, K. Sumiyama, N. Miyashita, Y. Sugita, Y. Okada
    • 学会等名
      the 2014 ASCB/IFCB meeting
    • 発表場所
      Pennsylvania Convention Center, Philadelphia, PA, USA
    • 年月日
      2014-12-08 – 2014-12-08
  • [学会発表] 集団遺伝研究部門とゲノム編集の時代2014

    • 著者名/発表者名
      隅山 健太
    • 学会等名
      木村資生先生生誕90年祝賀シンポジウム
    • 発表場所
      国立遺伝学研究所、静岡県三島市
    • 年月日
      2014-11-13 – 2014-11-13
  • [学会発表] TALE蛋白DNA結合ドメインの改変による高活性TALEN2014

    • 著者名/発表者名
      池田一穂、寺原陽子、隅山健太、宮下尚之、岡田康志
    • 学会等名
      第4回ゲノム編集研究会
    • 発表場所
      広島国際会議場ダリア、広島県広島市
    • 年月日
      2014-10-06 – 2014-10-06
  • [学会発表] 哺乳類分子進化研究におけるゲノム編集技術の有用性と残された問題点2014

    • 著者名/発表者名
      隅山 健太
    • 学会等名
      遺伝研研究集会「ゲノム編集時代の分子進化」
    • 発表場所
      国立遺伝学研究所、静岡県三島市
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-28
  • [図書] 「遺伝子が語る生命38億年の謎 - なぜ、ゾウはネズミより長生きか?」 国立遺伝学研究所 (編) 第Ⅱ部 人類進化の謎 第8章 ヒトゲノムの暗黒部分の謎―どのような遺伝子の変化がヒトを進化させてきたのか?2014

    • 著者名/発表者名
      隅山健太
    • 総ページ数
      9 80-88
    • 出版者
      悠書館
  • [図書] 「ゲノム編集革命」現代化学2014年8月号2014

    • 著者名/発表者名
      岡田康志
    • 総ページ数
      6 22-27
    • 出版者
      株式会社東京化学同人

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公開日: 2016-06-01  

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