公募研究
幹細胞とそれを育むニッチという概念は、ショウジョウバエ卵巣の研究に根差す。実際、幹細胞とニッチ構成細胞を確実に同定できる系は他にはない。そこで私はこの系を用い、生殖細胞の過剰な生成とそれによる腫瘍化を防ぐニッチで働く機構の解明を目指している。これまでの研究から、ニッチの構成要素の一つ、エスコート細胞でTecファミリーに属するBtk29Aキナーゼがβカテニンのチロシン残基をリン酸化することが引き金となり、生殖細胞の増殖を負に制御する仕組みが起動するものと考えられる。解決すべき幾つかの課題のうち本年度は、生殖細胞の過剰増殖を阻むべくニッチから生殖細胞に向かって送られるシグナルやその伝達に関わる因子群候補を遺伝学的に分離することを目指した。その方略として、Btk29Aの恒常活性化型変異をつくり、その優性表現型をさらに優性に修飾する染色体欠失をゲノムワイドにスクリーニングすることを考えた。そこで各種キナーゼ等での知見に基づいて5種の点突然変異を作成し、表現型が外見から容易に評価できる複眼に強制発現させたところ、顕著な複眼形態異常を招来する変異が一つ得られた。続いてこの変異型を卵巣のニッチに強制発現させたところ、生殖幹細胞の喪失や過剰生成などの顕著な異常が観察された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 18件、 招待講演 13件)
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