公募研究
申請者らは、曲精細管の血管ニッチとは別の精原幹細胞SSCs(GFRA1+精祖細胞)の安定供給源が、直精細管のバルブ様の構造(セルトリバルブ)内にあることを見出し、セルトリバルブニッチ内のGFRA1+細胞の動態とセルトリバルブを構成するセルトリ細胞の遺伝子発現プロファイルの全貌を解明することを目的としている。初年度は、様々なセルトリバルブ領域と直精細管の間での比較解析により、セルトリバルブ領域のセルトリ細胞は、曲精細管のセルトリ細胞と比較して、微小管のアセチル化の亢進していることを見出した。これは、恐らくセルトリ細胞の弁構造の形成と関連するものと思われる。また、非繁殖期、精巣輸出管の結紮での精巣の解析により、セルトリバルブにおいてGFRA1+細胞数に大きな変動が生じることを見出し、季節繁殖等の生理的な変動にセルトリバルブが関与している可能性が示唆された。さらに、W/Wvおよび野生型マウスの直精細管、曲精細管を実態顕微鏡下で切り出し、そのトランスクリプトーム解析を行った結果、W/Wvの曲精細管と比較して、W/Wvセルトリバルブ領域で特異的に10951 probe、wildtypeセルトリバルブ領域で高い13106 probeを同定し,共通の7554 probe(4843 genes)を同定した。ただし、単離した直精細管において、多くの精巣網組織が混入していることが想定され、この4843 genes全てがセルトリバルブ細胞特異的な発現を示すことではないものと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
セルトリバルブ細胞の解析も順調に進み、マイクロアレイ解析による全体像の把握は終了した。
セルトリバルブ領域で高い発現を示す4843 genesを同定したが、実態顕微鏡下で単離した直精細管において、多くの精巣網組織が混入していることが想定され、この全ての遺伝子がセルトリバルブ細胞特異的な発現を示す訳けではないことが判明している。そこで、新たに精巣網のみを単離し、精巣網の遺伝子発現解析を実験計画に加え、セルトリバルブ細胞特異的な遺伝子群の選別に利用する。
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http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/kaibo/seibunnka.html