研究領域 | ゲノムを支える非コードDNA領域の機能 |
研究課題/領域番号 |
26114708
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
深尾 敏幸 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70260578)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Alu element / 非コードDNA / スプライシング / エクソン認識 / 遺伝子再構成 / 遺伝子内欠失 |
研究実績の概要 |
Alu配列はヒトゲノム中の100万コピー以上もあるとされ、全ゲノムの約10%を占める。Alu 配列は霊長類の進化とともに出現した。Alu配列はこれまで意味のない配列と考えられてきたが、最近その機能についての知見がすこしづつ報告されてきている。申請者はこれまで小児科の先天代謝異常症および臨床遺伝を専門として、ケトン体代謝異常症の分子病態の解析を行ってきた。その中でAlu配列間での非同一相同組換えによる複数のエクソンの欠失、挿入などの遺伝子再構成を伴う症例を経験し、Alu配列に注目してきた。 25年度の新学術領域研究の『ゲノムを支える非コードDNA領域の機能』における研究に引き続き、ACAT1遺伝子イントロン9へAlu配列を挿入した際のエクソン10認識に与える影響について解析をすすめた。Alu配列の特徴によるのかAluを含むスプライシングベクターの構築に時間がかかっているが、現在イントロン9へ挿入したAlu配列を1コピーにしたconstruct、上流に元々存在するAlu配列を欠失しステムループ構造をとらなくしたconstruct、Alu配列の位置をよりsplice acceptor siteに近づけたconstructなど複数のmini-gene constructsを作成しているところである。これらの発現実験を今後行う予定である。 HMG-CoA lyase欠損症について、MLPA法を確立した。そして通常の遺伝子解析で一方の変異を同定出来なかった2例についてMLPA法で解析し、1例ではヘテロ接合でのエクソン2-4の欠失を証明し、その切断点のイントロン1側がAlu配列内であることを明らかにした。またもう1例ではMLPA法の結果から、Alu配列の関与する遺伝子再構成ではなく、Uniparental disomyが病因であることが示唆され、マイクロアレイ解析にて証明することが出来た。 連携研究者の遠藤によるbioinformaticsによるAlu配列のイントロン内の位置とalternative splicingを受けるエクソンとの関連についての解析は進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であればすでに多様なConstructsを作成を終了し、スプライシング実験を行っているはずであるが、Constructの作成に時間をとられてまだスプライシング実験にはいれていない。Constructsを作成することが律速段階であり、効率の良い遺伝子変異導入法の導入により、Constructs作成を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように変異導入法を改善し、Alu配列の位置、向き、数などとその下流のエクソンの認識についての解析をすすめ、論文としてまとめれるようにする。連携研究者によるバイオインフォーマティクスからは、alternative splicingを起こすエクソンの上流にAlu配列が多く存在し、その位置がどのように存在するかについて解析し,発現実験系の結果との比較をおこなう。
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