研究実績の概要 |
1.染色体の特定の部位の複製タイミングをS期後期まで遅らせる制御には、染色体腕部複製開始点近傍にあるテロメア配列が関与する。このしくみの解明と染色体全域での複製制御の普遍的理解に向けて、以下の研究成果をあげた。(1)テロメア配列に結合するTaz1とともに制御に重要な働きをするRif1の機能解析を行い、N末端にあるProtein phosphatase 1 (PP1) 結合モチーフが染色体全域での制御に必要であること、いっぽう高度に保存されたC末端50アミノ酸がRif1のテロメア局在に必要であり、Taz1依存的開始点の制御に必要である。(2)Taz1, Rif1依存的な腕部後期開始点がG1期特異的に核膜近傍のテロメアに隣接し、この局在にはTaz1, Rif1, テロメア配列が必要であり、いっぽう初期複製開始点はこのような局在がみられないことを示した(論文準備中)。 2.Shugoshin 2 (Sgo2)がサブテロメア領域の複製タイミング制御に関与するしくみの解明を加納純子氏との共同研究で実施し、Sgo2が複製開始ステップでのDDK (Dbf4依存キナーゼ)活性化によって促進されるSld3の開始点への結合段階を抑制することを見いだした(論文投稿中)。Sgo2とSld3を繋ぐしくみについては、Sgo2と相互作用するオーロラキナーゼ(Ark1)について検討中である。
|