染色体分配に必須なセントロメアは、動原体が形成されるゲノム領域であり、典型的な機能を持った非コードDNA領域である。したがってセントロメアのゲノム領域を研究することで、非コードDNA領域の理解に貢献できる。我々は、これまでに、LacO-LacIのシステムと染色体工学を併用して人工動原体を作成する過程で、予想外にもセントロメアのサイズが通常の3~5倍程度に巨大化している細胞を見いだした。本研究では、このセントロメアのサイズが大きくなった細胞を利用して、「セントロメア領域のサイズを規定する分子機構」の解明を目的とする。この目的の達成のために、26年度は、セントロメアを巨大化させる因子の同定を試み、HJURPタンパク質の255-500アミノ酸の領域にセントロメアを巨大化させる機能があることを見出した。また、巨大化したセントロメアをもつ染色体の動態を解析した結果、通常の染色体とその挙動が変わらないことを明らかにできた。27年度において、HJURPの255-500アミノ酸の領域と結合するタンパク質としてKNL2を同定し、KNL2とHJURPの結合がセントロメア巨大化に重要であることを明らかにした。さらに、通常の細胞においても、HJURPを過剰発現することで、セントロメアが巨大することも示すことができた。
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