公募研究
がんゲノムの変異は、発がんのメカニズム解明のために、最も重要な研究課題の一つである。次世代シークエンサーの導入により、網羅的変異解析が可能となり、多くのがん種で変異解析が行なわれている。しかしながら、ほとんどの研究が、タンパクをコードするエクソン領域に着目した報告であり、ノンコーディング領域の変異や構造異常の包括的解析は、ほとんど報告されていない。我々は、300症例の肝癌の全ゲノムシークエンスを解析し、点突然変異、挿入・欠失、コピー数変異、構造異常を網羅的に解析した。点突然変異や短い挿入・欠失の数を解析し、有力なドライバー遺伝子候補として38遺伝子を同定した。また、ノンコーディング領域においては、ノンコーディングRNA(NETA1、MALAT1)や複数の遺伝子のプロモーター(TERT, BCL6など)に統計的に有意に多い変異が存在した。構造異常を詳細に解析したところ、構造異常の数はDNA複製タイミングと相関することが明らかになった。CDKN2A、CCND1、TERT、ASH1L、NCOR1などの遺伝子に複数のサンプルで構造異常が存在していた。構造異常と遺伝子発現量の相関を解析したところ、構造異常が遺伝子発現量に影響することが明らかになった。特に、TERT遺伝子では、プロモーター領域にHBVの挿入や構造異常が検出され、それらはTERT遺伝子の高い発現と相関していた。この研究により、肝臓がんにおける、ノンコーディング領域の変異や構造異常の重要性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Sci Rep
巻: accepted ページ: -
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