生物の多様性を生み出し、進化をもたらしてきた仕組みの一つが有性生殖である。有性生殖を司るのは減数分裂で、減数分裂の分子機構の解明は基礎生物学においても医学においても非常に重要である。減数分裂の過程で特に解明されていない部分は相同染色体対合のメカニズムである。相同染色体の対合は親世代から承け継いだ相同染色体が互いを見つけて接着する過程であり、正常な対合が相同組換えおよび相同染色体の還元型分配に不可欠である。本研究は非コードDNA領域の相同染色体認識と対合における役割及びその分子メカニズムの解明を目的としている。今年度は新規な対合サイトを発見するために、ゲノムワイドに100kb以内の距離間隔でlacOリピートを染色体に挿入し、高頻度に対合する染色体サイトを捜査するアプローチをとった。すでに分裂酵母のゲノム上約30箇所にlacOリピート挿入したので、新規に約100か所均一分布した場所にlacOリピートを挿入した。その結果、分裂酵母の全ゲノムをカバーするようなLacO/lacI-GFPライブラリを作成した。このライブラリは対合の研究のみならず核染色体ダイナミクス研究に有用なツールとして利用できる。今後、このライブラリを利用して、野生株および相同組換えできない変異株で対合を測り、新規の相同組換え非依存的対合サイトを検索していきたい。
|