公募研究
本年度、成体脳で新生するニューロンが記憶の固定化に果たすメカニズムも明らかにするために研究活動を行った。これまでの実験から、成体の海馬で新生したニューロンが睡眠中に興奮することが、恐怖記憶の固定化に必要であることが明らかになった。そこで本研究を論文として完成させるに当たり、様々な追加・補助データを取得するべく実験を行った。その過程で、幾つかの意外かつ重要な結果が得られた。まず、光遺伝学を使って記憶の固定化と睡眠の関係を調べるための実験系を構築するに当たり、恐怖記憶の固定化の過程を詳細に検討した。すると恐怖学習課題から約6時間の期間に、記憶の汎化が起こり易い時間帯が有ることが明らかになった。この事実は、それだけでも重要な知見であると考え論文発表を行った。また、本課題を遂行する上で重要な要素技術である光遺伝学実験手法を用いることで、恐怖記憶のリモートコントロール制御を可能にする新しいトランスジェニックマウスが完成したため、それについての論文発表を行った。さらに、睡眠時期をより詳細に区別しながら実験していく中で、新生ニューロンが果たす役割りを詳細に検討し、驚くべき表現形を得た。この様に幾つかの重要な成果や発見を得たため、当初に予定していたイメージングやシナプス定量については若干に計画を変更した点も有る。何れについても技術は完成し、現在データの取得を急いでいる。また論文をまとめるために、柳沢正史機構長をはじめとして内外の専門家から多くの意見を聞き入れ、今後大きな成果へと繋がると期待される。現在、恐怖記憶以外の記憶に関しても、上記表現形が一般化できるか等の最終実験を行っており、2016年度中に新しい論文の投稿を目指している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 10件) 備考 (1件)
Mol. Brain
巻: 9 ページ: 1-7
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医学の歩み
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http://sakurai-sakaguchi.wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/publications.html