公募研究
カルシウムシグナルは、シナプス可塑性を引き起こす原動力となるのみならず、シナプスから核へのシグナリングの引き金となることを我々はこれまで明らかにしてきた。しかし、シナプスから核へのシグナリングの全貌は明らかにされていない。本研究では、特に、1)樹状突起の一部分のみが刺激された時に、どのように核へシグナルは到達するのか、2)このような場合、リン酸化カスケード活性化は核内で起こるのか、核外で起こるのか、という点に焦点を絞り、解明する。初年度の平成26年度には、リン酸化CREBの可視化を可能にするFRETセンサー分子の構築を試み、単一シナプス刺激によりpCREBシグナルを上昇させるシグナリング過程の探索を実施した。その途上で、CRTC1核移行がpCREBシグナル形成と独立して生成され、CREB依存的転写の活性化をもたらすことを明らかにした。また、CREB活性化過程におけるカルシウムシグナルを可視化するため、新規カルシウムセンサーR-CaMP2を構築し、その有用性をin vitro, in vivoで実証した。
1: 当初の計画以上に進展している
本年度の研究計画においての2本柱である、1)CREB活性化シグナリング過程の探索、ならびに2)CREB活性化過程を解明するための新規Ca2+インディケーター開発、の2つがともに成功し、論文発表が実現している。
初年度の研究成果を元に、引き続き、長期記憶の素過程であるCREBリン酸化プロセスの時空間ダイナミクスの分子基盤解明を推進していく。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Nature Methods
巻: 12 ページ: 64-70
DOI: 10.1038/nmeth.3185
Neurobiol Learn Mem.
巻: 115 ページ: 21-29
10.1016/j.nlm.2014.08.010
Neuron
巻: 84 ページ: 92-106
10.1016/j.neuron.2014.08.049