研究領域 | 少数性生物学―個と多数の狭間が織りなす生命現象の探求― |
研究課題/領域番号 |
26115712
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
堀江 恭二 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30333446)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子 / ゲノム / バイオテクノロジー / 再生医学 / 発生・分化 |
研究実績の概要 |
1. ES細胞への遺伝子トラップベクターの導入と、発現がOnとOffの2つの状態を取る遺伝子のスクリーニング:Venusまたはその誘導体をレポーターに用いた遺伝子トラップベクターを作製し、ES細胞へ導入した。スクリーニングの網羅性を高めるためには、ベクターの導入効率を高める必要があるため、ベクターのバックボーンにはpiggyBacトランスポゾンを用いた。Venusの上流にはスプライスアクセプターを配置しているため、ES細胞で発現する遺伝子内へ挿入すれば、その遺伝子発現のパターンを、Venusの蛍光によりモニターできると期待した。時間の経過とともに、Venusの発現パターンがOnとOffを繰り返すES細胞株を単離した。 2. 遺伝子発現の変動と細胞の多能性の相関関係の解析:上記で単離した細胞株について、Venusの発現レベルとES細胞の分化能とに相関があるかどうかをスクリーニングした。両者に相関関係のある細胞株を同定した。 3. 遺伝子発現の網羅的解析:Venusの発現レベルの変動に応じたES細胞内の遺伝子発現の変化を解析するために、Venus陽性細胞と陰性細胞をFACSにより分離し、RNAseqによって遺伝子発現を網羅的に解析した。また、得られた転写産物の配列の中から、内在性遺伝子とVenusとの融合転写産物を探索することにより、遺伝子トラップベクターが挿入した遺伝子を特定した。ベクターの挿入部位は、さらにゲノムDNAを解析することで確定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現変動とES細胞の多能性に相関関係を見出した。今回見出した発現変動パターンは、過去に報告のないものであり、新たな分野を切り拓けると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今回同定した遺伝子発現変動パターンをより詳細に解析し、発現変動を形成するための遺伝子ネットワークを明らかにする。また、マウス初期胚の解析を通じて、ES細胞で同定した遺伝子変動の発生学的な意義を明らかにする。
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