研究領域 | 少数性生物学―個と多数の狭間が織りなす生命現象の探求― |
研究課題/領域番号 |
26115719
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
城口 克之 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (00454059)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 1細胞解析 / シークエンサ / ハイスループット |
研究実績の概要 |
1細胞の分解能を維持するためには、それぞれの細胞を空間的に分ける必要がある。そこで、細胞の濃度を適度に薄めて、ドロプレットに封入した。顕微鏡で確認したところ、数割のドロプレットに細胞が封入されていることが確認できた。 次のステップは、ドロプレット内でのゲノム配列(ターゲット部位)の増幅である。数百塩基対の配列のPCR増幅を試みたが簡単には増幅シグナルが得られなかったため、複数のプライマーを設計し、まずは通常のチューブ内のPCR反応で、1細胞からゲノム配列を増幅できるかを検討した。チューブ内で特異的に増幅できたプライマーを用い、さらに、様々なPCR条件を試し、ようやくドロプレット内の細胞からの増幅シグナルが得られた。増幅の検出には、増幅に依存して強度がます蛍光プローブを用いた。非特異的な増幅でないことを確認するため、ゲル電気泳動で増幅産物を確認したところ、長さが確かに設計と一致した。これにより、ドロプレット内の1細胞から、ゲノムDNAの一部を増幅できることが確認された。 次に、各ドロプレットの増幅産物に、それぞれ異なるバーコード配列を結合することを試みた。様々な条件を試した結果、この結合は、プライマーの絶対濃度や相対濃度に大きく依存することが分かった。さらには、PCRのサイクル数や、温度条件にも、意外なかたちで依存した。最適な条件を検討したところ、増幅産物にバーコード配列が結合したことがゲル電気泳動の長さ解析から確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドロプレット内でのPCR反応や、増幅産物にバーコード配列を結合するところなどが、予期しない条件に依存するなど、解決に時間がかかる面もあった。しかし、丁寧に条件を検討することで乗り越え、全体としては、順調に研究が推進していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、複数のターゲット部位を同時に増幅し、それらの増幅産物すべてにバーコード配列を結合できるようにする。さらに、たくさんの細胞を解析できるようにハイスループット化するため、たくさんのドロプレットを作製できるようにする。たくさんの細胞を解析できるようになったら、次世代シークエンサで配列を解析し、レアな細胞が同定できるかを検証する。
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