公募研究
発生過程においては、さまざまな自己組織化現象がみられる。その理論的枠組みとして、チューリング型の反応拡散系がよく知られているが、系に関与する分子数が少数である場合には、少数資源の奪い合いによる自己組織化という形でチューリング型の反応拡散系を実装することが可能である。申請者らは、幼若神経細胞の形態形成過程における細胞内輸送の制御機構の研究を通じて、細胞内輸送がランダムに選択された突起に集中することにより神経細胞の自発的な形態形成が行われるという結果を得た。このことは、神経細胞の自発的形態形成・極性形成が、細胞内輸送という少数資源の奪い合いによる自己組織化の好適なモデル系であることを示唆している。本研究では、in vitro再構成系と培養神経細胞を用いた実験を組み合わせることで、少数資源の奪い合いによる自己組織化モデルの前提となる「細胞内輸送の自己活性化」の検証および分子機構の解明と「細胞内輸送を担うモーター分子の個数の細胞内分布計測」を行う。前者については、微小管の構造多型と分子モーターの共同性の関係、キネシンおよびダイニンの結合/運動が微小管の構造に与える影響、構造多型認識部位が共同性に与える影響、変異体の細胞内輸送に与える影響の解析などを実施する。後者については、キネシン分子数の細胞内分布の計測、キネシン自己活性化機構制御による軸索突起形成の人為制御を実施する。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ計画通りに進行している。
順調に進展しているので、予定通りに進めていく。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件)
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