公募研究
血液中の白血球の一種「好中球」の核は分葉化して、へテロクロマチンが発達している。分葉核内では、不活化X染色体が微小核類似の構造を形成することも知られている。好中球は感染刺激を受けると、細胞の構造を大きく変化させ、脱凝縮したクロマチンを細胞外に放出する。この細胞外クロマチン構造はNeutrophil Extracellular Traps(NETs)と呼ばれ、免疫や自己免疫疾患、敗血症に関わることが知られている。好中球で起こるこれら2回のクロマチン構造変換―分葉核とNETs形成―の分子制御や生理的な意義については不明な点が多い。また、分葉核と細胞外クロマチンの形成過程をシミュレーションする試みは、これまでに無い。申請者は、血液の分離・精製や培養法、電子顕微鏡、セルイメージングや分子操作などの解析技術を習得しながら、分葉核と細胞外クロマチンの動構造制御に関わる研究を熊本大学理学部の学生とともに推進・展開してきた(CellBio 2013; Biotech Lett 2014; Cell Boil Int 2015; Curr Protoc in Cell Biol 2015;Cell Biol Int 2016)。これまでに、薬剤(レチノイン酸とツニカマイシン)を用いた独自の細胞誘導系を構築して、SUMO、RanGAP1、actinやラミン、LBRなどの因子が分葉核の形成と連動すること、さらに細胞外クロマチン形成に至る段階が、顕微鏡観察で識別できる2つの素反応に分けられることを明らかにしている。いずれもグローバルな核とクロマチン動構造の制御基盤に関する新知見と考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
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巻: in press ページ: in press
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