研究領域 | 生命素子による転写環境とエネルギー代謝のクロストーク制御 |
研究課題/領域番号 |
26116703
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
今井 由美子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50231163)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウイルス / ヒストン修飾 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、インフルエンザウイルス感染によってヒストンメチル化修飾を中心としたエピジェネティックな転写環境がどのように変化するか?このプロセスに、SAM (S-adenosylmethionine)をはじめとした代謝物がどのように関与しているか?さらに、これらエピジェネティックな転写環境と代謝系のクロストークが、どのようにインフルエンザの病態の形成に関っているかを明らかにすることを目的としている。当該年度は、マウス胎児線維芽細胞、マウス肺組織、カニクイザル肺組織を用いて、インフルエンザウイルス感染に伴う、ヒストンH4ならびにH3の修飾状態を質量分析法で解析した。さらに、ヘテロクロマチンのマークであるH4K20me3を中心に、ウイルス感染に伴うヘテロクロマチンの構造変化をFISH・免疫染色法、ChIPseq法などを組み合わせて解析した。その結果、ウイルス感染に伴い、ヘテロクロマチンの安定性が損なわれ、ここにH4K20meなどの修飾変化が関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、インフルエンザウイルス感染に伴う、SAMをはじめとした代謝物の産生変動を解析した。また、マウス胎児線維芽細胞、マウス肺組織、カニクイザル肺組織を用いて、インフルエンザウイルス感染に伴う、ヒストンH4ならびにH3の修飾状態を質量分析法で解析した。さらに、ヘテロクロマチンのマークであるH4K20me3を中心に、ウイルス感染に伴うヘテロクロマチンの構造変化をFISH・免疫染色法、ChIPseq法などを組み合わせて解析した。これらの解析を通して、本研究課題の目的としている、ウイルス感染に伴うヘテロクロマチンの安定性、ヒストン化学修飾、代謝系との関わりに関する知見を得たので、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ヒストンメチル化修飾をはじめとしたエピジェネティックな転写環境と代謝系のクロストークが、どのようにインフルエンザの病態の形成に関っているかを、H4K20メチル化酵素の遺伝子欠損マウスや欠損細胞を用いて解析する。さらに、ヒトの病態との関連を解析するために、カニクイザルのインフルエンザウイルス感染モデルを用いた検討を推進する。
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