公募研究
昨年度までに、代謝変化が糖・脂質代謝ホメオスタシスを担うATF1のリン酸化調節を介してHSF1転写複合体形成を調節し、熱ショック応答の転写誘導および回復時の減衰を制御することを明らかにした。今年度は、ポリADPリボシル化(PAR化)によるHSPの転写制御機構の解明に焦点を絞って研究を進めた。これまでにHSF1、PARP1、PARP13がそれぞれ直接結合して三者複合体を形成すること、非ストレス条件下でHSP70プロモーターへ結合するHSF1が、PARP13を介してPRPA1を安定に引き寄せることを明らかにしている。1. HSF1-PARP13-PARP1複合体の形成と解離:熱ストレスを含む蛋白質毒性ストレスは、PARP1の自己PAR化を導き、3者複合体は解離することが分った。2. ポリADPリボシル化によるクロマチン構造の調節機構:熱ストレスによって自己PAR化されたPARP1はHSP70プロモーターから解離し、同時に下流のHSP70遺伝子領域へ一過性に再分布することが分った。HSF1ノックダウンあるいはPARP13と相互作用しないHSF1へ置換すると、熱ストレスによるPARP1の再分布を認めず、クロマチンの弛緩もわずかであった。3. 抗ウイルス因子として知られるPRPP13のRNA結合能の必要性:RNA結合能を持たないPARP13変異体へ置換しても、HSF1-PARP13-PARP1複合体形成に影響を与えなかった。4. HSF1-PARP13-PARP1の三者複合体が発現を調節する遺伝子群の同定:調べた5種類の細胞全てにおいて、この複合体がHSP70の誘導を促進した。さらに、HeLa細胞において、一群のHSP(HSP110、HSP90、HSP70、HSP40、HSP27)の熱ストレスによる顕著な誘導にこの複合体が必要であることが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~seika2/